「肝硬変の漢方薬がありますか?」お電話がありました。「体格等により選ぶ必要があるので、一回顔をお見せ下さい」とお伝えした後、すぐ40歳代、赤ら顔で体格の良い男性が見えました。医師からは「肝硬変」で治らないと言とわれ、別の漢方薬店で煎じ薬を買ったが、面倒で飲み辛く、効かなかった、飲みやすい錠剤はないかとの希望でした。アルコールは飲まないとのことでしたが、不規則な生活リズムと、明らかに食事内容が原因とみられる「脂肪肝」が考えられました。仕事上の制約は仕方がないけれど、薬ばかりでなく、「食べ物の注意をしてほしい」とアドバイスしたところ、興味を示して下さいました。幸い「魚が好き」だということがわかり、焼き物、煮物などをオススメし、「油脂類にくれぐれも気を付けてほしい」とお伝えしました。具体的には揚げ物、特に「皮」の油を吸っている部分。「オリーブオイルなど飲む人がいるが良くない」と説明したところ、「飲んでいます」とショックな返事。「これが出来ないと悪化しますよ」とご理解いただきました。漢方薬ではありませんでしたが、「肝硬変症 脂肪肝等」の効能書きがあり、肝臓に良い「牛黄」や「ビタミン」、「アミノ酸」を含んだ専門薬の錠剤を持っていかれました。早い回復を考え、1日の錠数を多めに飲むこともオススメし、半年から1年は経過を見てくださいと添えました。
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師 瀬尾昭一郎