「薬剤師業務を“対物”から“対人”に」と国が目標を定めて久しいです。「セルフメディケーション(自分の健康は自分で作る)」に寄り添いながら、若い薬剤師がどういう「対人業務」が出来るのか興味津々です。大学(薬学部)での教育も必要でしょう。ただの接客業と違い、医師と同様、生きている人の“病気”や“健康”、“生命”を扱う「知識」や「責任感」そして「心」が必要です。日本の薬局はここ30年ほど「保険調剤」に舵を取り、変身巨大化しました。現在の薬局の多くは「処方箋」に頼り医師の指示を受けながら“受け身”の業務をまだ続けています。処方箋発行元の医師が「生命線」で発行枚数が多いほど“儲かる”仕組みです。今まで薬剤師に限られた「調剤業務」も、「調剤機械」に代わる話も出ています。薬剤師は採用競争が激しく、大手のグループは薬学部学生の多くを青田買いし、なかなか小さな薬局には応募がありません。就職斡旋業者も高額の手数料を取り、肝心の薬剤師採用までたどり着かないのが現状です。まさに「高額」の「金の卵」の「品薄状態」です。西洋医学における治療は化学薬品の「薬物療法」、「外科療法」、「放射線療法」等ですが、「漢方薬」も専門的な医師の診療が進んでいます。50 年位前は、薬剤師がほとんど「業」としていましたが、現在は多くの医師が保険扱いの「医療用エキス漢方」を処方しています。この影響でセオ薬局のような“「漢方薬」の顔を持つ薬局”は激減しました。個人薬局では「経営」というもう一面があり、仕入金額や支払、税金も含めた「経営のためのお金の知識や取引」が必要です。「勤務薬剤師」にはわからない分野です。「給与」や「(有給)休暇」の事で頭がいっぱいの薬剤師もよく見かけます。つらつら思うことでした。
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師 瀬尾昭一郎