相談例集

その他

2022年9月「レバコールα(アルファ)新発売!! 」

60年ほどご愛顧いただいた「レバコール液」がリニュアルして、「レバコールα(アルファ) 」として新発売となりました。還暦リニュアルというところでしょうか?製造元の牛津製薬も薬事法が新しく(厳しく)なる中で現在の商品の維持に試行錯誤を続け、社長交代を機に新レバコールシリーズをスタートさせる運びとなりました。レバコール液成分の微妙な入れ替えがありますが、従来と同じ目的で服用いただけます。個人的な感想にはなりますが、味は少々“軽く”なっており、続けている方には少々物足りない味かもしれませんが、逆に今まで濃い味に隠れていた薬草などの香りをほんのりと感じ、飲みやすくなっています。αの本体価格は変わりませんが、消費税区別で食品部門8%となり少しお安くなりました。キャップもアルミから少し大きめのプラスチックで開けやすくなりました。服用年齢も制限区分が無くなりました。しばらくは商品の移行期間がありますが、まず旧レバコールの在庫限りの先行予約販売(ケースで約100名様分)、新しいレバコールαの試飲会、及び予約販売等店頭にて対応しております。姉妹品等も順次新しい商品に移行予定です。次の時代の健康を守るアイテムとして、今後も長く飲まれ続ける商品として、新レバコールシリーズをよろしくお願い致します。

 

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2022年9月「夏の終わりに思うこと」

この夏、漢方相談をしながら、「面白い事だなぁー」と一人考えることがありました。結論だけお伝えすると、相談者のほとんどが、嗜好品の「ビール」と「アイスクリーム」で体調を崩し、症状がこじれていたことでした。夏の「暑い」中、「冷たい」もので内臓(口、食道、胃、肺、腸、子宮、膀胱など)を痛めていたのです。これだけの確率で愛飲(食)者がいるということは、これらの製造メーカーはさぞかし儲かっている事だろうと羨ましく思いました。日本全体ではお医者さんの出すお薬やドラッグストアの薬、健康食品など、治療に関連するものが売れ、可哀想なことに、これらの嗜好品が売れるほど、病人が増え、薬の種類も増え、しかも病態が長引いているという構造が見えてきます。「本人の勝手でしょう」というご意見もあるでしょうが、健康相談を仕事としている私にとって、病人が増えることは有難くもありますが、こういう病人を作りながらメーカーの売上が伸びることについては、ばかばかしくも感じます。似たような事では、他の嗜好品でもたくさんあるでしょう。性善説や性悪説にも通ずるところですが、社会は「風が吹けばおけ屋が儲かる」式の構造で仕事が成り立っているのだ!と一人納得しました。自身の教訓として一日でも早く良くなるために、本日も養生指導をしています。

 

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

 

2022年10月「シェーグレン症候群」

「瀬尾先生、何かいい漢方薬がないだろうか?」知り合いの先生から知人の事で相談がありました。漢方薬も症状で三通りほどに分けられます。皮膚や口が乾燥して、煩躁するタイプ、消耗して身体がきつく動けないタイプ、精神的に落ち込み体がきつく乾燥しやすいタイプ。それぞれその方の症状に合わせて使い分けています。それから、補助として天然アミノ酸製剤、天然クマザサ製剤、天然薬用人参製剤をお話しました。その方は、最初のほてりや乾燥がひどいようでしたので、「B」という漢方薬と天然クマザサ製剤をオススメしておきました。「自己免疫疾患」のため、治療には根気が必要です。まずは漢方薬できつい所をコントロールする事。“交感神経が常に興奮(戦闘態勢)”しており、“頑張り屋さん”が裏目に出た状態なので、どこかで休養を組み入れる事(うまくさぼる!頑張っても誰も褒めてくれません・・・)、同じことですが、“短距離走”を“長距離走”に組み込んでおり、一方では体力が消耗、体力を維持する補助剤が必要な事、もし内臓を冷やしている行為があれば免疫には逆らっているので、即刻止める事、等の説明をし、半年から一年様子を見ましょうとお伝えしました。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2022年12月「ホームページ問い合わせフォーム 思うこと 」

新しくホームページを立ち上げてからあっという間に数年が経過してしまいました。ホームページの閲覧はありがたいのですが、最近、企業の営業目的閲覧が目立ち、セオのホームページ「問い合わせフォーム」から出しゃばり企業から、問い合わせではない“宣伝メール”が増えています。会社の宣伝目的の無責任な投稿ですね。本来は、「漢方薬や生薬などの問い合わせ」、「健康のお悩み相談」などを目的に開設しています。こちら側の気持ちがわかっていないのか、迷惑です。一方的に宣伝を送ることをノルマをと思っているのでしょうか?送った担当者の顔が見たいところです。ネット社会は顔が見えない中で、一方的に情報を送りつけて良しとする風潮があります。情報が紙より軽く、数打ちゃ当たるような気持ちがあるのだと思います。そうなるともっと意味のない迷惑な情報送信ということになりますね。送り主、送り先は必ず特定されています。“言論の自由”と都合よく言われますが、ツィッター等での批判の投稿が社会的にも問題視されています。企業も垂れ流しのメール宣伝でなく興味を持って喜んで選ばれ、人としてマナーを守った宣伝をしてもらいたいものです。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2023年1月「薬剤師業務について 思うこと 」

「薬剤師業務を“対物”から“対人”に」と国が目標を定めて久しいです。「セルフメディケーション(自分の健康は自分で作る)」に寄り添いながら、若い薬剤師がどういう「対人業務」が出来るのか興味津々です。大学(薬学部)での教育も必要でしょう。ただの接客業と違い、医師と同様、生きている人の“病気”や“健康”、“生命”を扱う「知識」や「責任感」そして「心」が必要です。日本の薬局はここ30年ほど「保険調剤」に舵を取り、変身巨大化しました。現在の薬局の多くは「処方箋」に頼り医師の指示を受けながら“受け身”の業務をまだ続けています。処方箋発行元の医師が「生命線」で発行枚数が多いほど“儲かる”仕組みです。今まで薬剤師に限られた「調剤業務」も、「調剤機械」に代わる話も出ています。薬剤師は採用競争が激しく、大手のグループは薬学部学生の多くを青田買いし、なかなか小さな薬局には応募がありません。就職斡旋業者も高額の手数料を取り、肝心の薬剤師採用までたどり着かないのが現状です。まさに「高額」の「金の卵」の「品薄状態」です。西洋医学における治療は化学薬品の「薬物療法」、「外科療法」、「放射線療法」等ですが、「漢方薬」も専門的な医師の診療が進んでいます。50 年位前は、薬剤師がほとんど「業」としていましたが、現在は多くの医師が保険扱いの「医療用エキス漢方」を処方しています。この影響でセオ薬局のような“「漢方薬」の顔を持つ薬局”は激減しました。個人薬局では「経営」というもう一面があり、仕入金額や支払、税金も含めた「経営のためのお金の知識や取引」が必要です。「勤務薬剤師」にはわからない分野です。「給与」や「(有給)休暇」の事で頭がいっぱいの薬剤師もよく見かけます。つらつら思うことでした。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2023年4月「前立腺がんの再発 」

元気だった同級生が亡くなりました。数年前には母校全体の同窓会総幹事を全うし、「さすがM!」と皆に称えられました。この大イベントの半年ほど前、「前立腺がん」の骨転移が十数か所見つかり、運命のいたずらに皆困惑したのでした。しかし、彼はこの病気に前向きに毅然と立ち向かい、自分なりに調査をし、関東の医療機関で放射線療法を受けました。顔面蒼白の状態ではありましたが、同窓会に車いす姿で戻り、挨拶と舵取りをこなしました。皆、「完治した」と思いました。その後は持ち前の体力でみるみる回復し、今まで以上に仕事と遊び、公務を精力的にこなしていたようです。しかし、ここ数年「再発したらしい」という風の便りののち、「脳に転移したようだ」という噂を耳にしました。知り合いからもどうしているのか問い合わせがありましたが、コロナ禍の中、なかなか私も気が動きませんでした。と、ある昼過ぎ「さっき亡くなった」と暫く会っていなかったO君から電話がありました。あわててわかっているだけ同級生にメールを送りました。通夜の席での息子さんの挨拶は立派でした。声の大きい父親の大胆さを笑わせながら称えていました。つい目頭が熱くなりました。我々より二歩も三歩も先を走り、ある意味で充実した人生を全うしたのだなぁと羨ましくも思いました。合掌。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2023年8月「足のほてり」

お電話で「脊柱間狭窄症の手術をしてから足がほてり、眠れません。ネットで調べたところ、“三物黄笒湯(さんもつおうごんとう)”という処方がありましたが効きますか?」という問い合わせを受けました。手術との相関関係はわかりませんが、“脊柱間”にしろ“ほてり”にしろ元々何らかの血行不良があって悪化したのだろうと思われます。例えば、正座を長くすると足が痺れる経験は多くの方がされていることと思います。この痺れと同時に、足裏が熱く感じたことはなかったでしょうか?似たような事では、指の根元をゴムで縛るとうっ血して色が黒ずんできますが、同じようなほてりがあったりします。この様に根元にあたる所の何等かの締め付けで血行不良(うっ血)が痺れやほてりにつながったりします。足部の場合、腰部からの関連が想像されます。化学薬品はありませんが、ほてりに使う漢方薬処方はいろいろあり、効果が期待されます。一般的な体の情報、生活習慣、仕事、病歴など総合的に判断しながら、原因となるであろう箇所の改善を考えての処方選択をします。上記処方は「手足のほてり」の効能効果がうたわれていますが胃腸に負担がかかる処方で、鑑別は必要でしょう。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2023年10月「牛黄(ごおう)の高騰」

「先生、申し訳ありません!またですが“○○○○○(牛黄製剤)”の仕入れ値が倍に値上がりしました!」取引している漢方薬メーカーS氏から悲痛な電話でした。ここ4~5年、牛黄の流通が無くなったり、品薄により異常な値上がりをし、今となっては溜息と諦め気分で驚かなくなりました。牛黄は牛の胆石で高貴薬としてここ二千年ほど珍重されてきました。近年の中国バブルに伴い、海外へ現金を持ち歩き、畜産農家の牛を含めた土地ごと買い上げる荒商売をしているらしく(漢方薬メーカー社長情報)、日本への流通が無くなってきているとのことでした。有限の生薬のため、いずれは何か起るだろうとは思っていましたが、このような形で急な値上がりに困っています。セオのお客様の中には、牛黄で命を永らえている方が数名いらっしゃいます。現在もですが、このままでは手の届かない価格となっていき、販売自体が成り立たない状態となってしまいます。何か代用でも牛黄に変わる製品があれば良いのですが、なかなか難しい問題となっています。牛黄を少量の構成成分として使用している一般商品も次々と値上げの通知が舞い込んでいます。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎


2024年4月「協励会青年部 ダイヤモンドロイヤル会」

もうかれこれ35~6年位経つかと思います。鹿児島県内の薬局協励会(きょうれいかい)という組織の青年部で当時毎月“薬局業”の勉強会を行い、切磋琢磨してました。そして数年の研究活動の集約として、研修旅行で締めくくることになりました。「N薬品工業」の本社と我々が販売している商品の製薬工場見学、ついでに慰労の打上げと観光を兼ね、古都京都まで足を延ばしたのでした。その際は、同社のW氏にたいへんお世話になりました。製薬工場見学含め一泊二日の日程でした。初日は厳しい基準に従って整えられた製薬室の製造過程を見学。昼食は、従業員の食堂で。緑いっぱいの庭が綺麗で、紫色の小さな花をつけた背の高い「ニンジンボク」の木が印象的でした。そして、待ちに待った夜の食事会。「祇園の舞妓さん」は初めての体験でした。翌日は市内観光。たくさんのお寺をご案内頂きました。その時購入した、「金言の用紙」を改めて今目にする機会がありました。なつかしく、声に出して読んでみると、その一言一言に重みを感じます。漢方でも精神状態や「気」の様子を薬の選択や病態判断の手段のひとつとして大事にしています。「言葉」も「気」を動かすのです。数枚手元に残っていましたので、私なりの素直な気付きを次号より書いていこうと思います。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2024年5月「人生五訓」

京都嵯峨小倉山二尊院の“あせるな おこるな いばるな くさるな おこたるな”は日常の反省として身にしみる身近な戒めの言葉です。落ち着かない、許せない、身の程知らず、知恵不足、なまけもの、などの似通った単語も浮かびます。いずれも心の状態をうまく言い表しています。漢方でも、心、心理状態を探りながら処方を考えることがよくあります。世間によくあるのは、家族、親と子、嫁と姑、財産問題、上司と部下、同級生同士、恋愛のもつれ、など身の上相談になりそうな背景から、「気」のトラブルが起こったり、「血」の病気を引き起こしたり、「水」による体調不良が起こったりします。漢方では、身体のバランスの崩れや偏りを考えます。一日は24時間でみな平等な時間です。そして、太陽の照る日中と月の出る夜は、季節によるずれはありますが、ほぼ半分づつです。偏ってもまた戻るのです。どちらか一方だけでは続かなくなっています。「気の病(やまい)」と書いて「病気」と言っています。そう、気の安定が大事です。人には思考、感情があるので気は微妙に変化し複雑ですが、気の安定は病の予防や治療に必要です。「心」の「安定」そして「安心」「健康」です。 


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2024年11月「人生五訓 いばるな」  京都嵯峨小倉山二尊院

褒められた時、「わーい!」と素直に喜ぶ小さい子供の姿は可愛く映ります。一方、大人は気持ちを抑え「お陰様で・・」と控えめに受け答えすることが日本人には謙遜として好まれます。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」はよく人生訓として例えとなります。ふとアンデルセンの“裸の王様”を思い出します。地位が高かったり、責任のある立場にいると、一般常識と比べ違っていたりおかしいと思ったことも、簡単に口にできないことがあります。責任者としては背景に守るべき人や組織があったりします。いや、自分だけは例外、特別だという方も見かけますね。テレビ中継でよく見かける光景です。「忖度」により創られてしまった虚像もあるでしょう。現代では、本人がいばっているつもりでなくても、立場や環境でそのような態度に取られることが良くあります。「ハラスメント」に関しては厳しい視線が当てられる時代です。常に相手を立てる心構えは必要でしょう。さて、「いばる」人に使う漢方薬は?はて何を使おうか・・・?体格的には大柄で体重がありどっしりした感じ、少し赤ら顔で声が大きい。判断が公平で自信がある。これ西郷さん?いやいや、この方は決していばらない方でした!誠に失礼いたしました!!


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2024年12月「セオ薬局ハイム店閉局の御挨拶 」

ハイム店は昭和52年(1977年)、鴨池新町ハイム商店街の一角に開局しました。新しい地域開発の一環で、長い間、与次郎ヶ浜から南湾にかけて広範囲の埋め立てが進んでいました。電柱や電線がなく、桜島と錦江湾が広く見渡せ、当時の鹿児島としては珍しい日商岩井や小田急の高層マンションが立ち並び、新しい未来の街が登場しました。初期の店舗は瀬尾幸朗を責任者として置き、地域の方を対象に一般薬と資生堂化粧品を販売。処方箋が出始める前後に現在の田之上薬剤師のもと、枦木内科、愛甲外科、松本産婦人科、牧角歯科の処方箋を一手に引き受ける調剤薬局に転身しました。途中、枦木先生からハイムクリニック吉嶺先生に代わり、あっという間に47年という歳月が経過しました。誠に残念ではありますが、今回、諸般の事情により令和6年11月いっぱいを持って閉店という決断に至りました。ハイム店はたくさんのお客様、患者様、商店街の皆様、そして勤務してくれましたスタッフに支えられ営業が出来ておりました。お世話になり誠に有難うございました。



セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2025年1月「人生五訓 くさるな」  京都嵯峨小倉山二尊院

毎日一生懸命真面目にしていても、失敗したりタイミングにより咎められることがあります。落ち着いた真摯な反省は必要でしょう。諦めずに先に生かす気持ちが自分を育ててくれます。どうしても過去を気にすることがありますが、事実は変えることはできません。「あの時こうしていたら・・・」ということはよく経験することです。「過去は変わりませんが未来を変えることは可能ですよ!」と相談のお客様を励まします。多くの「成功者」は、たくさんの失敗を恐れずにあるいは乗り越えて、目標を失わず前進した結果、大きなものを掴んでいるようです。くさることもあることでしょう。でも次のステップに気持ちを早く切り替えることも大事なことです。気を上向きにする漢方薬は・・・?補中益気湯、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、加味逍遥散、加味帰脾湯、タイプタイプによりいろいろの処方があります。最近冷たい物を口にしている方がよく目につきます。舌を見ると、冷えて白っぽく血の色がいかにも薄い感じです。これでは食物からの栄養(気)を消化吸収するのに力不足で、消化不良、まさに“くさる”のです。胃の元気は健康に直結します。胃を助ける漢方薬も大事ですね。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2025年3月「子供は親の云うようにならない 親のしているようになる」 一願地蔵尊 (俗称カラシ地蔵) 通称一願寺 臨済宗妙心寺派 福巌禅寺

私もかなり昔に「親」になってしまったので、今は立場が逆転しているのですが、この言葉は独身の頃わざと親の視線に入るように壁に貼っていたものでした。京都の研修でお寺巡りがあり気に入った一つでした。子供が親に反発する姿はよく見かけますが、「親の背中を見て・・・」ともいわれます。また「こんな子供に誰が・・」と皮肉られたりします。職人気質的な所では“黙って技術を盗め”という世界もあります。どれも言い当てていると思います。若い時は自分の期待する方向性や夢があり、「若さ」というパワーと費やす「時間」があります。しかし多くの場合例外を除いて、「お金」がありません。簡単で楽な近道はないものかと、悶々としながら何らかの羽ばたくチャンスを狙っていた時がありました。「あの時こうしていたら人生が変わっていたかも!?」とも思いました。でも、今来た人生は今が正しいと思うようになりました。人にはその人に合った器があって器に合う人生が一番良いと思うようになりました。ふと振り返ると、漢方薬の調剤をしながら父がポロッと言った一言が処方選択のときに役立ったり、考えるコツになっている事に気付きます。まさしく、“背中を見て”経験を踏んでいたのだなーと気づくのです。私も還暦を過ぎ、後継者の事や、老後の姿を考えながら毎日の仕事、生活をしています。連綿と引き継がれていくことを期待して。



セオ薬局 代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2025年6月「最近の相談で思うこと 」

最近の相談者でよくある事ですが、医療機関を三カ所以上に通っていて、医師からの医療用医薬品がそれぞれ合わせると、10種類以上処方されている方があります。「お薬手帳」を拝見してすぐ目につくのですが、別々の薬局でもらっている藥が同じ成分で重なっているケース、お互い影響のある複数のお薬が漫然と続けられているケース、副作用をカバーする薬がさらに追加されているケースなどさまざまです。「同じ薬ですね!」と確認しても、「ああそう・・?」と本人が他人事のようにお答えになります。これは薬を出す各調剤薬局で投薬する薬剤師の注意確認不足で、薬剤師に責任があります。監査の目が届いていないのに「手数料」はしっかり徴収されています。おそらくは真面目に通院を続けておられ、少しずつ処方が増え、慣れてしまい、ご本人も疑わないようになっているのだと思います。市販の漢方薬の添付文書に薬効が書いてありますが、のみ合わせについては「薬剤師にご相談ください」です。薬は食品ではありません。「くすり」は逆から読むと「リスク」となり、私も小中学校の薬物乱用防止授業で引用しています。そして、「漢方薬でどうにか治したい」とおっしゃいます。なかなかの難問です。いままで十数年変わらなかった、あるいは徐々に悪化してきたものが、数週間で健康な状態になる事は稀です。「一に養生、二養生、三四がなくて○○○!」という宣伝がありますが、基本でしょう。病状が軽いうちに漢方薬を飲みながら養生することです。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2025年7月「まぼろしのサツマニンジン」

初夏の頃、鹿児島あるいは宮崎の山中で、運が良ければ赤い実をつけた「(ちく)(せつ)人参(にんじん)(トチバニンジン)」の自生を見かけることができるかもしれません。皆様ご存知のウコギ科「薬用人参」の一属の植物です。その昔「サツマニンジン」とも呼ばれていたようです。名前から想像する通り「薩摩(鹿児島)」に関係した薬用人参です。第八代将軍徳川吉宗が享保年間、全国に「オタネニンジン」(朝鮮人参、薬用人参、高麗人参等の名称で知られる)の栽培を奨励しました。この頃からさかのぼる事、約半~一世紀以上昔、明から渡来した漢方医一官何欽(いっかんかきん)(きつ)は、現在の宮崎県都城市梶山の山中で「人参」に良く似た竹節人参を発見、これに「和人参」と銘々し、医療に役立てたとあります。(三国(さんごく)名勝(めいしょう)図会(ずえ)庄内(しょうない)地理(ちり)(し))当時の都城は薩摩藩が支配していた関係で、流通する上では通称「サツマニンジン」と呼ばれていたようです。江戸期の専門家の古書には、髭(髭根)部を薬用としてすすめていたり(小野(おの)蘭山(らんざん)本草綱目(ほんぞうこうもく)啓蒙(けいもう)』)吉益(よします)東洞(とうどう)の『(やく)(ちょう)』には「朝鮮産は味甘く・・心下痞硬(しんかひこう)用うべからず・・本邦諸国に産する者(サツマニンジン)大いに効あり、苦を殺す(なか)れ」とあります。もっと古い書物は平安時代の記述も見受けられますが、同一植物かどうかわかりにくい所です。昭和初期の頃までは鹿児島県内でも薬種薬品として流通していたようで、三国名勝図会をめくると、入来、野田、出水、曽於、郷ヶ迫、末吉、須木、野尻、韓国岳、高原、高城、都城、飯野、小林などの産地が上がっています。現在は化学的な成分研究が進み、新しい発見では、薬用人参と同じダンマラン系の成分を多く含んでいる事が確認されています。一方、過去に乱獲が進み、地球温暖化などの影響で株が減少しており、「絶滅危惧種」に指定されています。専門家や一般の方々も含め、保護、教育や広報、研究が急がれるところです。

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎