相談例集

2017年5月 「牛黄」について東京で講演して下さい


平成8年10月11日、女子医大退院。しばらくして、東京の“ウチダ和漢薬”より、連絡があった。医師、薬剤師を対象に、東京で「牛黄」の講演をして下さい、というものであった。体調も、勿論もどっていない。「少し時間を下さい、勉強してみます。」、と延ばした。九州のK支店長に頼んでみた。「その後、牛黄の学術資料は出ていませんか?」しばらくして資料が送ってきた。京都府立医大、「牛黄」についての“実験”であった。数枚めくってみて驚いた。こうだったのか、故小島教授より、すぐる年依頼されて、出来なかった、「牛黄薬理の実験」をこの眼で読み取った。以下のような実感結果であった。牛黄を、マウス、ラットでテストすると、イ)肝血流が急激に上昇する。肝炎の数値を示す。GOT、GPTは改善しない。ロ)牛黄+熊胆の混合物投与、肝機能が一段と良くなる。ハ)牛黄とし四塩化炭素(劇物)を投与。肝機能は一段と悪くなる。ニ)以上の実験で「牛黄」が、肝血流を大へんよくしていることが解る。以上が、やっと解明された、「牛黄」の薬理作用の第一報であった。退院後に、施工した鉄筋3F建が、1年がかりでやっと完工した。ウチダ和漢薬の本社より、その間、2回ほど、訪問を受けている。新築の2Fで、「五行の庭」を眺めながら、話をしている。延ばしに延ばしていた東京の講演に出かけた。東京全逓会館、平成10年12月12日。退院後、初めての“講演”、さすがに本調子になれなかった。

「水に棲む蛙の声」瀬尾昭 著 より

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎