元気だった同級生が亡くなりました。数年前には母校全体の同窓会総幹事を全うし、「さすがM!」と皆に称えられました。この大イベントの半年ほど前、「前立腺がん」の骨転移が十数か所見つかり、運命のいたずらに皆困惑したのでした。しかし、彼はこの病気に前向きに毅然と立ち向かい、自分なりに調査をし、関東の医療機関で放射線療法を受けました。顔面蒼白の状態ではありましたが、同窓会に車いす姿で戻り、挨拶と舵取りをこなしました。皆、「完治した」と思いました。その後は持ち前の体力でみるみる回復し、今まで以上に仕事と遊び、公務を精力的にこなしていたようです。しかし、ここ数年「再発したらしい」という風の便りののち、「脳に転移したようだ」という噂を耳にしました。知り合いからもどうしているのか問い合わせがありましたが、コロナ禍の中、なかなか私も気が動きませんでした。と、ある昼過ぎ「さっき亡くなった」と暫く会っていなかったO君から電話がありました。あわててわかっているだけ同級生にメールを送りました。通夜の席での息子さんの挨拶は立派でした。声の大きい父親の大胆さを笑わせながら称えていました。つい目頭が熱くなりました。我々より二歩も三歩も先を走り、ある意味で充実した人生を全うしたのだなぁと羨ましくも思いました。合掌。
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師 瀬尾昭一郎