相談例集

生活習慣

2017年9月 「 しゃっくりが止まらない」

Mさんの奥様から家内の携帯に電話相談があったのは、朝の7時頃でした。「主人の“しゃっくり”がなかなか止まらないのよ!」開店と同時にご主人本人が見えました。「指宿に泊まりに行って楽しんできたけど・・・」としゃっくりをヒックヒックしながら経過を説明していただきました。知らない人がこの光景を見たらつい笑ってしまうような話しぶりです。本人は本当にまいってしまっているようでした。「恐らく内臓の冷えから来る病気でしょう。特効薬の漢方薬があります。」と煎じ薬5日分お渡ししました。「早ければ1服で、遅くとも5日以内には止まりますから。」と説明し、お帰り頂きました。翌朝、「どうだったかなぁー?」ふと考えている所に、いつものお顔でMさんがご来店。私も少し緊張しました。ニコッと笑顔で、「セオさん止まったよ!」と一言。「言われた通り飲んだら、一服で止まったよ。有難う。また出たら困るから、頂いた残りも飲みとるよ。今日来たのは家内の事で、風邪をこじらせて熱出して寝とるんョ・・・。」一難去ってまた一難。お大事にされて下さい。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎


2018年3月「正しい漢方薬の使用」その6

いわゆる薬の副作用を未然に防ぐには、定期的な観察や問診、検査がかかせません。その窓口で関所の役目をする一つが薬局なのです。処方箋を受けている保険薬局に対する厚生局(国)の保険指導内容はごもっともと思います。つまり、効能・効果もですが、一方の「副作用(安全性)」も考えながら行うべき服薬指導や問診において、同じ処方をだらだら(ホイホイ?)と出し続け、チエックしていない状態の「まんぜん投与」という行為に対し、「(なぜ事前に薬剤師が)医師に疑義照会をしないのか?」という詰問がよくあります。これは、治れば廃薬すべきものを、治らない中で薬をだらだらと長期間続けさせ、副作用を引き起こしたり、返って病気を進行させてしまう可能性があるという見方です。急激に膨れ上がっている医療費の増減とも関連することです。今回の記事は、メーカーばかりを責めるのはお門違いで、漢方医学の医師への教育、薬剤師の観察眼と責任感、厚生労働省の監督指導がまだまだ行き届いていない結果だったのではと思います。今後、漢方薬が正しい方向付けで理解、普及していくことを期待する一人です。(完)

セオ薬局 代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年6月「全身の皮膚炎で自殺まで考えた男性」その2

炎症があって、熱や赤みがひどいので漢方薬、血の熱が強いので、冷やす葉緑素製剤、手の保湿に専用のローション等最低限のものをお出しし、油脂類等を避けるよう食事指導を徹底しました。「回転すしはどうですか?」質問がありました。あとでよくよく調べ、やはり我慢をするように伝えました。翌月おみえになりました。外見はそんなに良くなっていませんでしたが、表情は明るく、「だいぶ良くなった!」とおっしゃって下さいました。おそらくかゆみ、ほてりがいくらか治まったのだと想像しました。それから数カ月毎月定期的にお見えになり、少しずつ快方に向かっています。暑くなる頃からでしたので、自分の汗でかゆみが出たり、仕事で帽子をかぶるため、汗とよごれまみれになり心配しましたが、なんとか切り抜けました。お孫さんが遊びに来るので、その手でだっこするのが楽しみだとおっしゃっていました。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年9月「夜の寝つきの悪い○○○○」その1

不眠の訴えの方が多いです。ほとんどの方は、寝つきが悪く目がさえて寝られなかったり、2~3時間して目が覚めてしまいそのあと寝られなかったり、という訴えです。ほとんどの方は医師からの短時間型の「睡眠導入剤」や、「安定剤」、一般的な「睡眠剤」を服用しています。そこでよくある質問が、「飲むとぼけませんか?」です。「すぐにはないでしょう?個人差もありますが、長期間の服用の中で、老化も伴うので徐々にはぼけますよねー!?ぼけても自分がわからなくなるので、服用していいんじゃないですか?」と冗談交じりにちょっと脅します。生活習慣を尋ねると、昼間に2~3時間も昼寝をする方がいました。体がきついので、しかたがないとは思いますが、昼間は出来るだけ起きておく努力は必要でしょう!また、睡眠剤を服用した追い打ちに「アルコール」を飲む方がいます。薬剤師としては、「アルコールと睡眠剤は一緒に飲んではいけない組み合わせ」と指導します。向精神薬なども同様の事が言えますので、気をつける必要があります。アルコールの薬理は脳神経を最初興奮させ(陽気になる)、時間が経つと沈静(眠なる)、濃度が薄くなると再度興奮する(目がさえる)流れがあり、薬の作用が変化する可能性があります。肝臓にも負担がかかります。化学薬品も同様です。次回のコラムで漢方薬処方紹介します。



セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年10月「夜の寝つきの悪い○○○○」その2

漢方薬もサッと効くものではなく、その方の生活習慣や体質を確認しながら選ぶ必要があります。緊張が続いて興奮気味の方、肝の高ぶりがある方は、「抑肝散陳皮半夏」。過労で疲れて返って寝れない方は、「酸棗仁湯」。不安が強く気分のさえない方は「加味帰脾湯」、夢を良く見る人は、「桂枝加竜骨牡蠣湯」、足が火照って布団から足を出す方は「三物黄芩湯」、などなど。医学的には自律神経のバランスの崩れから眠れなくなる事も考えられます。昼間に働く「交感神経」、夜に働く「副交感神経」のバランスが大事です。血液検査では「顆粒球」と「リンパ球」の比率で状態が把握できます。自律神経の立て直しをするのに、「牛黄(ごおう)」や「紅参(こうじん)」の「原末」を使った漢方薬がよく効きます。牛黄は水戸黄門の印龐にも入っていた高貴薬です。副交感神経を引き出す作用のある事が実験で解っています。より効果を上げる補助として、血管を開いて血行を良くする、「二号方」という漢方薬を併用するともっと相乗効果が期待できます。日々の体調を整えるために運動やお風呂につかるなど生活習慣の工夫をし、要は一時的に服用するのでなく、毎日の服用を継続することがポイントになるでしょう。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年11月「 好酸球過多による過敏性大腸炎の女性」

遠方の□さんから初めての相談のお電話がありました。今までの病歴、検査値、服用している漢方薬、新薬、の内容を一時間ほどお伺いしました。漢方薬の処方をたくさんご存知の様子で、検査内容や病状も専門用語がポンポンと出て来て、ほとんど一方的なお話でした。「好酸球過多」に伴う「喘息」「過敏性大腸炎」等の病名を訴えられたのですが、根底に観えたのが「低体温」でした。「自律神経失調」「アレルギー」「神経過敏」「疲労」「不眠」等、ある程度の病態は当てることができました。このことは病気との付き合いが長いことを感じることができます。お手紙を書き、漢方薬とアミノ酸製剤、食事内容、漢方薬の選択の考え方、日頃の養生、等手紙2枚と「セオの養生食べ方学パート2」をお送りしました。その後、この内容にも熱心な質問があり、3~4カ月は同じような訴えと薬の選択など相談が続きました。そのたびに食事や養生を繰り返し繰り返しご指導しました。「今までの病歴が長いので、すぐには無理ですが、病気との付き合いをしながら、季節ごとの生活習慣の注意をし、まず1年、そして3年努力すると今以上に健康を維持できると思います。」と、この前のお電話でも励ましながら、お話しました。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年12月「掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)の男性」

奥さまとA様そろってお見えになったのは一年前のことでした。50代で体はがっしりして気さくな印象でした。相談は手にできた皮膚病のことでした。両方の手の平がぶつぶつと黄色くガサガサにめくれた状態で握手は遠慮したいような手でした。数年前から発症し、皮膚科の軟膏で経過を見ていましたがあまり良くならず、最近悪化したので漢方が良いのではとお見えになった次第です。生活習慣を一つ一つチエックした所、パンや乳製品を頻繁に食べている事、一年中冷えたビールを飲んでいる事、運動をしていない事、シャワーがほとんどな事などがわかり、いろいろとアドバイスをしました。漢方薬、手の清拭剤、軟膏、補助食品等を差し上げ、治るのには時間がかかる事も付け加えました。翌月奥様だけ見えましたが、経過は良いとのご返事でした。体質改善にしばらくかかりますので根気よく続ける事が大事です。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年1月「 平成31年の正月」

あけましておめでとうございます。新しい年を皆様どのようにお迎えでしょうか?干支は「亥」でラストランナーですね。いよいよ平成という元号も秒読みとなりました。新しい次の時代に期待が膨らみます。日本国民が新天皇陛下の時代を心待ちにしています。長寿の方を考えると、明治、大正、昭和、平成そして次の元号へと五時代に渡って激動の世の中を生き続けていらっしゃることは、すごいことだと思います。今後も医療技術が格段に進歩し、命を長らえる方が益々増え続けることでしょう。しかし、医療費もうなぎ昇り。国のシステムでは限界があると思われます。原点に戻れば、食事内容、睡眠、運動、ストレス発散、家族や知人とのコミュニケーション、生きがいや希望、風呂、疾患をコントロールする医薬品や漢方薬、健康維持をする健康食品などの個人個人の生活習慣レベルをどのように管理するかがカギを握っています。「不摂生で病気になった人の医療費用まで肩入れしたくない」と問題発言をされた方もいましたが、真意はついていると思います。健康維持は努力が必要です。よい年よい未来になりますように!


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年2月「高齢者の健康クラブでの講話」

薬剤師会からの依頼で、御高齢の方を対象に「薬」に関する話をして参りました。会場の門の前に立ったちょうどその時、中から唱歌の元気な歌声が流れて来ました。庭先には梅の花がほころび、とても温かい気持ちになりました。「○○健康クラブ」に男女合わせて50名ほどの方が集まっていらっしゃいました。平均年齢79歳?位でしょうか?薬剤師会からの テキストがありましたので、これに沿って一時間お話しました。お医者様のお薬をもらっている方は全員で、その中で6種類以上の方が数名いらっしゃいました。まず、薬の剤形、錠剤、カプセル、液、軟膏、「座薬は座って飲むものではありません。」と話すとどっと笑いが起こりました。薬が効くしくみ、薬の飲み方、服用時間、用法、用量、飲み忘れたら?、薬の保管、錠剤やカプセルのアルミヒートの注意、小児や高齢者とくすり、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師、お薬手帳の利用、在宅医療・介護、ジェネリック医薬品、健康食品等々でした。終了後、三名ほどご質問がありました。「○○という健康食品を飲んでいるが、どうだろうか?」「今飲んでいる血圧の薬も含め少なくできないだろうか?」「リウマチの薬を長年服用し、最近また新しい薬がでたが、このままでよいのだろうか?」それぞれその方の生活習慣や個性を考えてお答えしなければならない内容でした。その中で、お1人に「冷え」の説明をしたあと「日常で何か冷たい物を摂られていますか?」とお尋ねしたところ、「アイスクリームが好きで一年中食べている」ことがわかり、改めて「冷え」と「病気」の関連を説明しました。こういう場所に来ますと、いろいろの方のいろいろの病気、いろいろの対処をしたり薬を飲んだり、それぞれの悩みや疑問を知る事が出来、貴重な時間を頂きました。有難うございました。

2019年4月「牡丹(ボタン)その2」

ボタンピは「瘀血(おけつ)」を治療します。これは、血の流れが悪くドロドロした状態を言います。例えば打ち身のあざやはれ、生理のドロッとした塊や生理痛など生理が滞る症状、心臓や脳、腎臓などの毛細血管が詰まりやすい状態あるいは、詰まったもの。腎臓の「クレアチニン」にも良いはずです。身近なものでは「便秘」、重い病気では「がん」など、「血のよごれ」の状態を「きれいな血」にする目的で使用します。漢方薬の使い方としては、ボタンピ単品ではなく、複数の生薬を「組み合わせた処方」という形で用います。ボタン本来の花の色、“毒々しい赤紫色”がこれらの「汚れた血」を連想させます。誰にでも合うわけではあいませんが、現代人は食べすぎや、運動不足、ストレスで血が濁りやすくなっていますので多くの方が当てはまるのかもしれません。おもしろい経験があります。男性のお客様が転んで顔左半分に大きな青あざが出来てご来店になりました。牡丹皮の入った打ち身の漢方薬を差し上げました。4日後に見えた時、何とあの顔の“あざ”と“はれ”がきれいになくなっており、スタッフもびっくりました。もちろん本人が一番お喜びでした。その頃次々と4~5人の方が同じような打ち身で訪れ、同じような経過で早く良くなり、漢方薬の効果に改めて驚いた次第です。
   
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年6月「食生活で悪くなった乾癬」

前もって電話予約を受けていたNさんが見えたのは、朝まだ寒い時間帯でした。皮膚科に通っているけれどもなかなか治らず、むしろ悪くなっているということだったので診てみると、胸や腹の表裏、足、腕、皮膚が蝶の鱗片のように白くめくれて汚い感じでガサガサしていました。今までの薬をすべて確認しましたが、医師も適正な処方を出しておられ、治らないまでもコントロールが可能な内容でした。そこで長引いている原因を探りました。まずは独身で配送業務をしている事、外食ばかりで便通も悪いこと、運動が出来ていないことなどが解りました。もっと詳しくお尋ねしましたが、特に外食では、揚げ物(油脂)、刺激物、味の濃いものが多く、野菜類が少なく、食べる速度もかなり早い(噛み方が少ない)、缶コーヒ-を1日5~6本飲むなどが解り、指導しました。ただ、仕事があるので、せめて食品を選んで食べることを伝え、葉緑素の筑後株クロレラを食後に飲みながら、乾癬用の漢方薬を処方しました。スキンケア保湿用の液剤もお渡ししました。テレビでは女性タレントが堂々と乾癬を披露しているのを見たことがありますが、この患者様は重症で比較にならないほどかわいそうでした。時間はかかると思いますが、早く軽くなる事を目標に頑張ってもらっています。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年9月「間質肺炎の女性」

「間質性肺炎で治らないと医者から言われました。」と男性からお電話があったので暫くお話を伺っていました。「今から相談に家内を連れてきます」「あ、奥様のことだったんですね!」一時間ほどしてご夫婦でお見えになりました。奥様は小柄で色白の美人でした。少し咳きこまれたので自前の漢方薬の煎じ薬を温めてお出ししました。しかし、「熱いから飲めない」としばらくそのままにされていました。「ん?」と思い舌を見せてもらいました。思った通り大きく赤く照かった舌でした。そこで、「○○さんの生活を詳しく教えて下さい」とお尋ねしました。日常はスポーツウーマンで運動を良くしているとのこと。「でもどうして肺が悪くなるの?」という疑問・・・お聴きする中で運動中にかなりの水分補給をしている事がわかり、先ほど診た“舌の疑問”と結びつきました。夏だったこともあるでしょうが、ペットボトルのイオン飲料はじめ、冷たいものを大量に飲んだり、アイスクリームを食べたりと、異常に胃を冷やし続けていたようです。胃の冷えと共に、肺も冷え、血行が悪くなり細胞が固くなったようです。加齢もあったと思います。肺を温める漢方薬の煎じ薬と天然アミノ酸液をすすめ、「治りますから!」とお伝えしました。

 

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年10月「冷たい飲み物と冷房で足のむくみの出た男性」

先生、足がむくんで治らない!」と遠方から男性のお電話が有りました。「いつものお薬は飲んでますか?」「続けています!」「何か原因が有りますねぇ・・・」会話をしながらさぐります。「暑くなりましたが何か冷えたものを飲んだり、体を冷やしすぎていませんか?」「・・・仕事で汗をびっしょりかくので色々飲み・・イオン飲料が多いですが、他、水かお茶です」「冷たいですね!」「はぁつめたい・・・です」「冷房はですか?」「・・暑いから、夜寝るときはつけっぱなしです・・・」皆さんわかりますね!そう、冷やし過ぎです。本来夏は汗をかく季節ですが、仕事上のこととはいえ、胃腸を過剰に冷やしたり、就寝中に冷えると体の代謝が落ち、バランスが崩れ「むくみ」や「頭痛」、「めまい」、「食欲不振」、などなど自律神経失調の症状が起こりやすくなります。夏バテや夏風邪が長引く事になります。追加の漢方薬もでしたが、まず、水分は常温、糖分の多い甘い味ものは極力避けてもらう事、夜の冷房は高めに温度をセットし、タイマーを数時間位で切れるようお願いしました。少々寝苦しいでしょうが、汗をかきながら寝ることを強く指導しました。シャワーばかりということでしたので、風呂にしっかりつかって、これも汗を流して下さいと付け加えました。  


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年1月「またやってしまった ぎっくり腰」

テニススクールが冬休みの為、運動不足解消で年末の夜の寒い中一時間ほど県庁のまわりを走りました。翌朝、しめ縄張りで2時間ほど外の作業をしていました。次に道路横の旗を整理しようと、座った姿勢で旗竿を支えているブロックを左から右へ移す作業をしていました。と、“ギクッ!あ`~っ!!”古傷を舐めるようにまた“ぎっくり腰”をやってしまいました。左腰に表現できない違和感が走り、座ったまま動けなくなりました。腰に負担をかけないよう姿勢には気をつけていたつもりでしたが、体が冷えきって固くなっていたのです。周りを見回すと誰もいません。5分ほどそのままでした。これではいけないので、支えていたブロックから手を離し、旗の細い竿を頼りに、そろりそろり姿勢を変えながらようやく立ち上がりました。立っても歩けません。どちらの足から動かせばよいのか試行錯誤しながら、ようやく店舗の中に入って従業員に声をかけました。早速、芍薬甘草湯、バランスターWZ4粒、オキソピタンDXゴールド5カプセルをその場で飲み、一時間横になっていました。最初の痛みからは半分ほどになったでしょうか?なんとか左腰をかばいながら歩けるようになりました。この間、麻杏薏甘湯、薏苡仁湯、芍薬甘草湯、レバコール液を追加。新年を迎え、一週間後には90%良くなり年始のテニス初打ちに参加できました。頭を下げる時少々痛みがある以外はほぼ良くなりました。漢方薬と補助薬の早い効き目に助かりました。

 

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年3月「高齢者の健康クラブでの講話 パート2」

昨年と同じように薬剤師会からの依頼で、御高齢の方を対象に「薬」に関する話をして参りました。はじめての場所で公民館までの道順がよくわからなかったので、前もって現場確認をしていました。当日は24名の方が集まっていらっしゃいました。最高齢は90歳の女性でした。薬剤師会からの テキストがありましたので、これに沿って、まずいろいろの剤形、錠剤、カプセル、液、軟膏などの確認、「アルミヒートごと飲んだ事故」が昔あった事をお話しすると、「へー!?」とびっくりした声。薬が効くしくみ、薬の飲み方、服用時間、用法、用量、飲み忘れたら?、薬の保管、小児や高齢者とくすり、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師、お薬手帳の利用、在宅医療・介護、ジェネリック医薬品、健康食品等々でした。終了後、2名ご質問がありました。「主人が晩酌の後、抗高脂血症の薬を飲んでいるがどうでしょう?」これは、アルコールの肝臓負担、薬の肝臓負担を説明し、併用は良くないと説明。「主人が冷え症で寝る時足が冷えて寝つきが悪いがどうしたらよいだろうか?」風呂を寝る時間に近く入ったり、電気毛布を使用、寝ている間に発汗や脱水がおきるので、寝入る時にスイッチを切るか湯たんぽで足だけ暖めるなど、補足として漢方薬もおススメしました。いろいろの方のいろいろの病気、いろいろの対処をしたり薬を飲んだり、それぞれの悩みや疑問を知る事が出来、貴重な時間を頂きました。有難うございました。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年5月「はじめに CKD(慢性腎臓病)その①」

最近、鹿児島市や薬剤師会の主催で“CKD研修会”が増えてきました。初めての方の為に説明を加えます。「CKD(シーケーディー)」は“chronic kidney disease” の略語で「慢性腎臓病」のことです。腎臓は血液の濾過が主な仕事です。長年の生活習慣の中で、例えば糖尿病、高血圧、脂質異常(中性脂肪やコレステロール)などの病気を持っていると、血液がドロドロの状態で、徐々に腎臓の“濾過のフィルター”が目詰まりを起こし、機能を充分果たせなくなります。急性の腎不全も含め、血液の濾過が必要となります。空調機器でもフィルターがほこりで目詰まりしますよね!でもそう!腎臓は簡単に入替できないのです!私達も超高齢化社会の中で増えていく“病(やまい)”のひとつの為勉強する必要があります。発端は「多剤投薬」すなわち化学薬品を多量に続けて飲む高齢者が増え、副作用で腎臓を悪くする傾向が目立つようになったからです。一部の対策として薬剤の数を減らす動き(ポリファーマシー)も出て来ました。セオ薬局では漢方薬他で軽快している方もおられます。専門用語や数値が出ますが、どうかご勘弁ください。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年6月『「クレアチニン」CKD(慢性腎臓病)その②』

腎臓の目詰まりの目安として、「クレアチニン」や「eGFR(糸球体濾過量)」といった「血液検査」の項目の数値により状態を判断します。男女性別や年齢等により基準が変わります。クレアチニンの数値で0.6(単位は省略します)前後は正常ですが、1から3(厳しい)以上になると、医師から「人工透析」の話が出ます。「腎臓の治療薬はない」とも言われます。とりあえず、飲みにくい活性炭の吸着剤が投薬されたりします。また、食物制限が厳しく、カリウム(という微量ミネラル)の多い生野菜、果物、緑茶、青汁、クロレラなど、口にしないよう注意されます。(カリウムを吸着する薬を処方される患者もいて、「何でも食べなさい」と医師から言われることもありますが、「制限」をした方が「体の負担」が少なく状態を保てると思います。食べられない苦痛もわかりますが・・)この事で思い出す方が1人おられます。80代前半の方で処方箋の化学薬品を10種類以上服用されている方がいました。クレアチニン値も高く、ご本人も心配していたため、こちらで腎臓や肝臓の「補助」のものをオススメしましたが、長くは続きませんでした。「食事は好きなものを」と医師から言われているとお聞きしました。ある日「高カリウム血症(血液の中のカリウムが異常に増え、重篤な悪影響が出る)」を起こし、緊急入院され、その後、施設で最後でした。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年7月『「人工透析」CKD(慢性腎臓病)その③』

「透析」とは血液を体外に取り出し腎臓の代わりに特殊な機器で人工濾過し、血液を体に戻す作業のことです。ぎりぎり我慢して透析を施術した方は、体の“きつさや不具合”が一瞬にして取れるので朗報です(医師も薦めます!)が、1日おきの週3回、1回4~5時間ほど透析に時間を要します。献血の時は横になってしばらくボーとしていますが、毎週半日献血をしているような事になりますね。終わった直後は脱力感があるとお客様から聞いたことがあります。フィルターが人工の為、必要な「微量ミネラル(海や土に多く含まれる微量金属で体に必要なもの)」等も濾過されるらしく、やはり本物の腎臓にはかなわないそうです。透析を開始すると死ぬまで一生続けなければなりません。現在は透析をしている方の為に医療機関と連携を取り、県外でも透析を受けられるようになっていると聞いています。一方、腎臓は充分な役目を果たせない中、萎縮を始め3ヶ月も経つと豆粒ほどの大きさになってしまうそうです。再復活はありません。余談ですが、私の母が昨年健診を受けた際、腎臓が1つしかないことがわかりました。いつ無くなったかもわからず、「ビックリポン!」でした。ここまで話すと透析をためらう方が多くなりますが、放置しておけば「尿毒症」で“血が腐って”しまい、「死」が待っています。どちらにしても患者はまな板の鯉状態です。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年8月分『「シャント」CKD(慢性腎臓病)その④』

話が前後しますが、透析の前準備で「シャント」があります。血液を取り出したり戻したりするための軽い外科手術です。「静脈」と「動脈」を縫い合わせ、静脈を膨らませ、ハリを刺しやすくするのです。よく耳にするのは、「シャント部分の傷の治りが悪いため血栓除去手術をしたり、次々とシャントを新しく作る手術を繰り返すのできつい」ということです。元々の体質が悪い為、普通の人より傷の治りが悪いのでしょう。しかし、救いの話題もあります。名古屋の透析専門のM病院では当薬局でも扱っているある薬(天然植物医薬品)を製造メーカーの薦めで患者に与えたところ、「シャントトラブル」が激減し、しかも次の透析までの「間隔が空く(血液がよごれにくくなり回数が減る)」ようになった、と聞いています。“体質が良くなった”ということですね。原料は植物由来の為、カリウムが気になりますが、メーカーの技術により微量しか含まれず、“腎臓への心配はない”と聞いています。むしろ強力な抗酸化作用により「浄血」が起こり、「抗炎症作用」、「血栓を溶かし」たり「サラサラの作用」、成分の鉄による「造血」、「増血」など、治療の補助としては良い効果が期待できます。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2020年9月『「薬をやめたい」CKD(慢性腎臓病)その③』

私の薬局にも「どうにかならないか」いろいろ相談があります。腎臓のトラブル以前に「それぞれの持病を複数」抱えている方が目につきます。そして“病気の蓄積”が見えてきます。今の西洋医学で薬を与えるシステムではそれぞれの疾患にそれぞれの化学薬品が処方され、複数の先生に診てもらうほどたくさんの化学薬品をもらわざる得ないようになってしまっています。「処方をやめたい」という言葉はよく聞かれますし、実際「向精神薬をやめてしまったら元気になった!」というような“ありそうな”報道があったりします。このような行為は自動車が高速道路で走っている時「ここで降りたいから”飛び降りる”」行為に近く、専門的なアドバイスが必要でしょう。なかなか踏ん切りがつかないところですが、これらも含め、漢方薬と補助等や食生活を含めた養生でクレアチニン値が安定し、正常域に戻った方や助かるだろう方々、ここら辺の話を次からしましょう。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎