ライブラリー

2014年6月 漢方薬と民間薬


薬草を乾燥させたものを生薬という。げんのしょうこ、せんぶり、どくだみ、はぶ茶、はとむぎは、よく知られた生薬だ。これらは民間薬である。民間薬は口伝えや個人の経験により、一種類の生薬で普通用いられる。漢方薬も生薬を用いるところから、民間薬と混同されやすい。
漢方薬は数種から十数種類の生薬を組み合わせてできる。例えば、頻尿の治療薬で知られる「八味地黄丸」は八種類の生薬から成る。漢方の古典の名著「黄帝内経」「傷寒論」は二千年ほど前の中国で生まれた。病人の体力や病気の状態に応じた治療方法や考え方が書かれている。これらももとをたどれば、民間薬の研究から生まれたものであろう。経験の積み重ねで漢方の体系はできたのである。
薬草の種類や薬効について述べてある最古の本草書「神農本草経」に、興味深いことが書いてある。薬を目的別に上中下の三段階に分類している。「下薬」の項に、毒が多いので長期の服用は慎む、とある。現代の化学薬品は、漢方から見れば中から下に相当すると考えられる。
(南日本新聞夕刊「思うこと」より抜粋)

セオ薬局 代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎