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2014年4月 私の漢方事始め


小学一年生まで私はオネショが治らなかった。
父が漢方薬を煎じてくれた。
出来上がりに米あめを二個入れた。甘みはあったがおいしくなかった。
子供のためにあめを入れてくれたと思っていたが、それが漢方薬の処方だった。

母は胃が弱かった。
果物など夜に食べすぎて、翌日胃の痛みを訴えることがよくあった。
ある日、胃が重くて食欲がまったくなかった。胃がんではないかと疑った。
父は漢方薬を煎じて飲ませた。

大学を卒業した私は、ある漢方系製薬会社に勤めた。
仕事でストレスや睡眠不足、酒が重なり体調を崩してしまった。
体重が減り、胃痛でふらつき気力がおとろえた。
口に周りのひげそりあとが化膿して赤く腫れあがった。
漢方の勉強を始めたころだった。試行錯誤をしながら、一年後に回復した。
自分の処方に自信を持った。
父と同じ漢方の世界の入り口に私は立ったと思った。

最近、漢方薬も身近になり、服用もしやすくなった。
だが、安易な身近さではない大事な身近さになるよう、漢方の普及に努めたい。
(南日本新聞夕刊連載「おもうこと」瀬尾昭一郎より抜粋)

セオ薬局 代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師 瀬尾昭一郎