相談例集

女性の悩み

2016年4月 いづろ店お陰様で30周年特別企画 お客様勉強会のお知らせ

「健康十訓」を連載中ですが今年度の「お客様勉強会」のお知らせを致します。
毎年御好評の"お客様対象の健康勉強会"は、お昼1時半から3時までいづろ店近く金生町ビルにて開催しています。今年も継続開催いたしますので、ご興味のある方は御参加お待ち申し上げます。会費は無料ですが事前御予約下さい。その時のメーカーからおみやげの商品をプレゼントしています。4月21日(木)「冷えと疲れと低体温と免疫に薬用人参」、5月19日(木)「天然アミノ酸で健康長寿を伸ばそう」、6月19日(日)「わははと笑って健康長寿 笑う門には免疫アップ」、7月21日(木)「今年の猛暑もかき肉エキスで乗り切ろう」、8月18日(木)「筑後種天然クロレラで母乳育児・腸内環境」、9月15日(木)「~膝・腰・肩の痛みに朗報~痛みの原因を取り除く無臭にんにく製剤オキソピタン療法」以上6講演を企画致しました。この中で、お陰様で「いづろ店」が"30周年"を迎えるにあたり、特別企画としまして"あの「三遊亭歌之介」師匠"をお呼びし、同日"笑って健康"をテーマに寄席を企画しています。御応募はいづろ店、真砂本町本店にお問い合わせ下さい。

 

2016年6月 健康十訓 少憤多笑パート2

体の安定を維持するための日常の訓練としては「腹式呼吸」が良く紹介されています。お腹、特に下腹を意識し、腹を膨らませる呼吸です。深呼吸の時、鼻からスッーと吸って、口からゆっくり息を吐き切ります。吐く息は口から糸を出すような感覚で、出来るだけゆっくりゆっくり吐く事を繰り返します。(頑張って早く呼吸すると頭がぼーとなります。これはダメです)繰り返す事で自然と下腹に力が入るのです。似たような動作は、歌やお経など声をしっかり出す行為が腹式呼吸を無意識に行うことになります。急いでいる時や、そわそわ気が散る時は、肩で息をしており、空気が肺から奥に入っていかない感覚があります。精神的な事で用いる漢方薬は人それぞれタイプ(男女、実虚、寒熱、気上衝、便秘下痢など)が違いますのでその方に合った処方をさがします。例えば小さい事が気になり音に敏感で体格良く不安不眠の方には"竜骨牡蠣処方"、同じ事を繰り返し言い、神経質で考えがふらふらしている方には"逍遙散処方"、ヒステリー、イライラ怒りっぽく、せっかちな方には"釣藤鈎当帰処方"などよく用います。詳しくは御相談下さい。

 

2016年9月 健康十訓 少憂多眠 パート1

「憂いは肺を破る」と言われます。例えば、肺病の人が暗い部屋で夜悶々と考え事をすることは、病気を長引かせる一因となります。「病(やまい)は気から」とも言いますね。気が張っている時には病が体に入らず、気が緩んだ途端寝込んでしまうこともあります。東洋医学では昼を「陽」、夜を「陰」と位置づけます。お互い相反する位置づけで、陽は活動的で明るく熱や活力のある"動"のイメージ、陰はしっとり落ち着き暗く涼しく"静"のイメージ、陽も陰もそれぞれエネルギーがあります。夜(陰)の思考はマイナスの考え方が多くなり、眠れなくなるのです。翌朝(陽)思い返すと何を悩んでいたのだろうと気持ちが楽になった経験がおありと思います。陰の時刻に陰が重なると「極陰」といって極端に傾く事になります。夜(陰)の果物(陰)やビール(陰)、アイスクリーム(陰)も同様です。「極陽」も行きすぎで、陰と陽の絶妙なバランスが中庸つまり健康をを保つ事になります。漢方では多すぎるものは削り、少ないものは補うという考えがあります。例えば「胃脾」を補う事で「肺」を補い「憂」を治します。

 

2017年12月 「正しい漢方薬の使用」 その3

私の薬局には毎年、薬学部の5年生が実務実習の一環として漢方薬の研修に来ます。処方と病態の対比もですが、薬剤師の職能として、気をつけなければならない生薬や、服用する方の体質などの観察等、総合的に教育をしています。「小柴胡湯」と「インターフェロン」の併用により「間質性肺炎」の副作用が起こった例、「甘草」の副作用の「偽アルドステロン症」、妊産婦への瀉下剤(例えば「大黄」)など、現代医学の目でも注意を促す必要があります。これらは薬剤師国家試験問題にも頻繁に出題されている項目の一つです。実習の中では、乾燥した生薬をかじってもらい、「味」を確かめてもらっています。漢方の味として、「酸(さん 酸っぱい味)」「苦(く 苦い味)」「甘(かん 甘い味)」「辛(しん 辛い味)」「鹹(かん 塩からい味)」の五味を説明の上、生薬がどの味か確かめるのです。これは生薬の各味(成分)が五臓と五腑に吸収され、薬効を発揮するからです。これに比べ化学薬品は、原材料を賦形剤でカサを増し、カプセルや錠剤、顆粒、あるいは砂糖で甘くしたり、香りをつけたりしてマスキングを施し、服用しやすい剤形に加工しています。漢方薬は逆にこれらの味を大事にしながら服用します。煎じ薬であれば、臭い・香りなども薬効の一つと言われています。食べ物と一緒ですよね。


セオ薬局 代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年7月「お客様勉強会御礼」

お陰さまでいづろ店も6月19日をもちまして、開業32周年を迎えました。今年最初のお客様勉強会を6月21日に開催しました。今回は日東薬品工業の中條幹夫先生に、「新発見!!細胞は若返る!!ALAで身体の中からイキイキ」という演題で御講演頂きました。体の細胞は36兆個あると言われ、「ALA(アラ:ガンマアミノレブリン酸)」は、1個1個の細胞の中にある体の活力エネルギーを作る工場「ミトコンドリア」に作用し、低下気味の代謝を上げてくれる事がわかっています。冷え症や低体温の方が服用すると体が温まり、汗をかく人もいるようです。疲れやすかったり、気力低下しやすい方にも良いとのことです。体力低下しているガンの治療をされている方の補助としても役に立つと思われます。白い小粒の錠剤ですが、ものすごいパワーを持っていることにびっくりします。新商品で液体ドリンクも開発され、広い応用が期待されます。先日ご参加いただいた方の感想では、「良く寝られるようになった!」、「体調が良くなり元気が出た!」「体が温まった!」等、お喜びの声を実際頂いています。個人的な感想ですが、「牛黄(ゴオウ)」の作用に似ているような気がします。ゴオウは起死回生の薬として群を抜いて鋭い効果を発揮する事がわっていますが、最近急に輸入困難になり、仕入れ値がつり上がり品薄状態です。ゴオウの代用として「ALA」を使って良いのではと思っています。

セオ薬局 代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年3月「牡丹(ボタン) その1」

春の訪れとともに、また「牡丹」の季節がやってきます。我が家では鉢植えにしていますが、それぞれの株ごとに、白、赤紫、黄、ピンクの花びらが幾重にも広がり、両手にすっぽり入るほどの大きさの花が咲きます。ボタンの地上部は冬の間細く枯れた枝ですが、寒が過ぎる頃から葉の赤い芽が出始めます。成長した葉はくすんだ緑色をしています。花が咲くまではみすぼらしい印象がありますが、ピンポン玉くらいの蕾が徐々に膨らみ、開花して散るまでの一週間ほどは、「私を見て!」と言わんばかりに存在感と妖艶さを備え、思わず拍手をしたくなるような咲きっぷりです。昨年は、自宅だけではもったいないので、薬局の店頭で咲いた順番ごとに展示しました。ちょうど外国人旅行客がたくさん訪れており、花を見ながら指さしたり感激の声を上げたりして、記念撮影をする情景を何回も見ることができました。これの漢方薬の原料としての生薬は「牡丹皮」と言って、根の皮の部分を用います。主成分「ぺオニフロリン」には独特の漢方薬的な香りがあります。市販でも生薬を煎じる薬等は似たような匂いがするかもしれません。消毒薬のような、少々薬臭いニオイです。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年4月「牡丹(ボタン)その2」

ボタンピは「瘀血(おけつ)」を治療します。これは、血の流れが悪くドロドロした状態を言います。例えば打ち身のあざやはれ、生理のドロッとした塊や生理痛など生理が滞る症状、心臓や脳、腎臓などの毛細血管が詰まりやすい状態あるいは、詰まったもの。腎臓の「クレアチニン」にも良いはずです。身近なものでは「便秘」、重い病気では「がん」など、「血のよごれ」の状態を「きれいな血」にする目的で使用します。漢方薬の使い方としては、ボタンピ単品ではなく、複数の生薬を「組み合わせた処方」という形で用います。ボタン本来の花の色、“毒々しい赤紫色”がこれらの「汚れた血」を連想させます。誰にでも合うわけではあいませんが、現代人は食べすぎや、運動不足、ストレスで血が濁りやすくなっていますので多くの方が当てはまるのかもしれません。おもしろい経験があります。男性のお客様が転んで顔左半分に大きな青あざが出来てご来店になりました。牡丹皮の入った打ち身の漢方薬を差し上げました。4日後に見えた時、何とあの顔の“あざ”と“はれ”がきれいになくなっており、スタッフもびっくりました。もちろん本人が一番お喜びでした。その頃次々と4~5人の方が同じような打ち身で訪れ、同じような経過で早く良くなり、漢方薬の効果に改めて驚いた次第です。
   
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2019年5月「令和 元年」

新しい天皇陛下の即位に伴い、日本列島総祝いで記念すべき時を迎えました。新元号は、万葉集の「梅」をとらえた一文から採用されたことを、すでに皆さまもご存じのことと思います。よく比較される「桜」は日本的ですが、梅や桃は中国の背景を感じます。身近な食べ物としての梅ですが、一般では「梅干し」や「梅肉エキス」が知られます。漢方でも「烏梅(ウバイ)」と言って、梅の果実を薫蒸した物を処方の原料として使ったり、「梅核気」という病名は、のどに梅の種が詰まっているような違和感を例えたものです。ちなみに「桃」ですが中国では邪気を祓い不老長寿を与える植物として愛されています。「桃万頭」や「桃源郷」、「桃栗三年柿八年」など日常耳にされます。漢方では桃の種を「桃仁(トウニン)」と言い、例えば「桃核承気湯」という処方に入っており、女性がのぼせて便秘気味の方に使います。種はおなかの硬いしこりを取る作用を期待するのです。そして「桜」も使用されます。木の皮部分を「桜皮(オウヒ)」と言い、咳止めに使ったり、処方では皮膚の漢方薬「十味敗毒湯」の原料で使います。「松竹梅」「桃の節句」「桜吹雪」どれも日本人にはなじみのある言葉ですね。健康で平和な活力のある時代になりますように。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2021年3月「第二回 日本東洋医学会福岡支部会参加報告」

温故知新、漢方専門薬局として常に勉強し、今に則して動く必要があります。令和3年1月24日の漢方研修会を視聴しました。親会は日本最大の東洋医学の学術団体です。医師を中心に、薬剤師、鍼灸師が日ごろの臨床や研究の成果を発表し、西洋医学的視点分析も合わせ参加しています。コロナ対策の為、オンラインで受講しました。「アルツハイマー病」の予防と治療を目指した和漢薬研究、「COVID-19(新型コロナウィルス)」に対する漢方薬の臨床研究など近々のニーズに答える生きた内容で、勉強になります。前者はアルツハイマーの原因とされる“アミロイドβ”の沈着や神経変性を漢方薬の「帰脾湯」や「加味帰脾湯」が改善し、研究レベルで治癒に結びつく解析があり、“認知症”に期待されます。後者は、コロナ患者に対し「柴葛解肌湯」、「小青龍湯」、「麻黄湯」、「銀翹散」など通常の風邪やインフルエンザで用いられている処方を症状別に使い分け、体調の改善に役立っているとの話がありました。約二千年以上前に確立していた漢方の世界、特に「傷寒雑病論」という医学書には、著者張仲景の「親戚一同が十年経たないうちに三分の二が死に、その約七割が“傷寒”にかかって死んだ、医学の充実を図ることになった云々」という序文から始まり、処方解説がなされています。この“傷寒”とは「インフルエンザ」や現在ワクチンの普及が急がれている「新型コロナウイルス」等の感染症、急性病全般を指している様です。現在も“傷寒”との戦いが続いているのです。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2022年9月「夏の終わりに思うこと」

この夏、漢方相談をしながら、「面白い事だなぁー」と一人考えることがありました。結論だけお伝えすると、相談者のほとんどが、嗜好品の「ビール」と「アイスクリーム」で体調を崩し、症状がこじれていたことでした。夏の「暑い」中、「冷たい」もので内臓(口、食道、胃、肺、腸、子宮、膀胱など)を痛めていたのです。これだけの確率で愛飲(食)者がいるということは、これらの製造メーカーはさぞかし儲かっている事だろうと羨ましく思いました。日本全体ではお医者さんの出すお薬やドラッグストアの薬、健康食品など、治療に関連するものが売れ、可哀想なことに、これらの嗜好品が売れるほど、病人が増え、薬の種類も増え、しかも病態が長引いているという構造が見えてきます。「本人の勝手でしょう」というご意見もあるでしょうが、健康相談を仕事としている私にとって、病人が増えることは有難くもありますが、こういう病人を作りながらメーカーの売上が伸びることについては、ばかばかしくも感じます。似たような事では、他の嗜好品でもたくさんあるでしょう。性善説や性悪説にも通ずるところですが、社会は「風が吹けばおけ屋が儲かる」式の構造で仕事が成り立っているのだ!と一人納得しました。自身の教訓として一日でも早く良くなるために、本日も養生指導をしています。

 

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

 

2023年7月「舌痛症」

女性がほとんどですが、舌の“痛み”や“ピリピリ感”、“味がわからない”等の相談をお受けします。「舌」は、食べたり飲んだりする時、声を出したりしゃべる時無意識に自在に動いています。日頃も、体熱を見る時、胃の具合を見る時、体液を見る時、などに観ています。漢方でも「視診」として観ることにより東洋医学的な診断をします。舌先は「心」、中央部分は「胃」、その奥の部分は「肺」、その両脇部を「肝・胆」、舌全体の最も奥の付根部分を「腎」という配置で色、燥湿、大小など観察します。舌が厚く大きい人は胃も強く食欲旺盛、逆に薄く小さい方は胃も小さく消化の力が弱い。舌全体がボーっと白っぽい人は胃腸や肺の冷え、赤い人は内臓に熱がある、舌の横に歯型がついているのは「気虚」と言って、精神的に疲れている方。舌が震える人、あまりしっかり「ベー」と出来ない人は神経を病んでいる人、貧血の人はオレンジ色が強く、健康なピンク色との比較によりレベルを推測します。舌を上にめくり裏側にある静脈の腫れや色を見ることで、血液のドロドロ具合を見ます。さて、舌の痛みがある方は、精神的なストレスが原因と言われています。味がわからない方は亜鉛不足と言われています。それぞれ何らかの生活習慣から発生しているようです。

 

 

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎