相談例集

女性の悩み

女性の病

手術を勧められた子宮筋腫の30代女性

手術の予定日が 3 カ月たったあとに決まっているとのこと。
それまでに何かのんでおきたいと、来店。漢方薬煎じ薬を 2 週間ずつあげました。のみやすいとのこと。
手術日当日、開腹してみたら、大きさが 1/2 に縮んでいた。
「??」もっと早くからのんでいたら良かったのかもわかりません。

安産スッポンの漢方薬

Fさんは長身で細く色白の女の子でした。学生の頃から生理痛が重く、お母様が漢方薬を長く服用されていました。
1月めでたく結婚され、程なく妊娠されました。「漢方薬のお陰です。」とお母様言。
妊娠中もつわりの漢方や、胎児が小さいからと安胎作用の漢方をお続けになり、いよいよ臨月を迎えました。
予定日を1週間過ぎても気配がなく、血圧がかなり上昇し下半身のむくみがひどい理由から産婦人科では妊娠中毒症かもと言われ、胎児の安全の為入院となりました。
陣痛促進剤と帝王切開の説明を受け、「どうしよう」とお母様から相談。「安産スッポンの漢方薬があります。」と2日分差し上げ、様子を見ました。2日後も連絡がなく、帝王切開だったんだなあと思っていた3日目、「満潮の頃、自然分娩で3040gの女の子が産まれました。」とお喜びのご報告を受けました。
無事命を授かったという安堵感と、漢方がお役に立てた喜びが交錯しました。まだ母子には対面していませんが、母親似の色白で肌ツヤの良い子でしょう。

「病」は「冷え」から

「検査では何もなかったけど、体の調子が悪い」という方が時々います。近年、高度機器の進歩で体の状態が詳しくわかるようになりました。しかし検査に出ないのはなぜでしょう?東洋医学では、「冷え」に注目します。「冷え」により血行が悪くなり、新陳代謝が落ち、老廃物はたまりやすくなり、体内の水分がよどみます。太ったり疲れやすかったり、かぜをひきやすくなったりする人は、「冷え」による原因を考えるのも一つの方法です。
「冷え」は免疫(体の中の自衛隊)にも影響します。「ガン」との関連を力説する先生もいます。病気ならないためには、「暖める」事は大切です。食べ物、運動、風呂などで暖めて循環を良くすると、肝臓や腎臓での血液浄化が高まるのです。暖める事は、「漢方薬」が得意とする分野です。

2007年8月 養生食べ方学パート2「はじめに」より

平成12年の初版本は、"アレルギー"や"アトピー"をメインに据えましたが、今回の再編出版では、さらに次のものを加えました。「ひざ・腰痛」、「坐骨神経痛」、「脳血栓・脳出血後の手足のまひ」、「メニエール・耳鳴り・自律神経失調症」、「メタボリックシンドローム」、「血液ドロドロに関する要因」、「肝炎をめぐる話」などです。それから、「ガン」の頁数を増やしました。それにしても「ガン」が多すぎます。生活習慣病やメタボリックシンドロームというのは、すべて、"食べ方"の問題であったと断じて良いのです。それではどうするのか?本書が加勢します。私どもの薬局でも社員が増えました。「もの」を売るドラッグと違い、薬学的な知識、漢方的な知識が求められます。レベルの高い、均等で質の高い"答え"が用意されなければなりません。なにはともあれ、まずは"健康"です。

 

 

2008年7月 小松帯刀と清心丸

現在NHK大河ドラマ「篤姫」が放映中です。5月5日(月)の南日本新聞で「小松帯刀が妻のお近にあてた手紙を保管」という記事が目にとまりました。これは篤姫と同じ年の肝付尚五郎(きもつきなおごろう/養子で小松姓となる)がお近と結婚の儀をあげた放送があった、ちょうど翌日の掲載でした。鹿児島大学の原口泉教授によると、"一級資料"の評価だそうです。文面中、「お近の体を気遣い、薬と思われる『清心丸』を送った・・」とありました。実はこの「清心丸」は、現在も専門家に使われる漢方薬なのです。私どもの漢方専門薬局では、難しい病気の時に用い、なくてはならないお薬です。脳出血後の後遺症、手足のしびれ、めまい、心臓病、自律神経失調症、老人性認知症、不眠症、急性や慢性の肝炎、などにお勧めし、喜ばれています。動物生薬である「牛黄(ごおう)」が効くのです。

 

 

2008年12月 三種の神器

NHK大河ドラマ「篤姫」も、いよいよクライマックスを迎えます。大奥のトップ天璋院と、幼なじみで維新の功労者、小松帯刀の二人を中心とした人間模様は、物語としても史実としても、興味をそそられる内容でした。大きな権力が突然崩れ落ち、新時代の大きな波に翻ろうされながらも、命をかけ、時代を駆け抜ける姿には、熱く心を打つものがありました。7月号で「清心丸」という漢方薬に触れました。小松が妻のお近へ宛てた手紙に"清心丸" を送った事が記されているという内容でした。お隣の韓国では、「三種の神器」の中に1つとして、「各家庭の神棚には"清心丸"が具えてある」、と旅行の際耳にしました。(他、キムチ、薬用人参で三種)韓国での使用目的にビックリしました。脳卒中、全身不随、手足不随、言語障害、昏睡、顔面神経麻痺、口眼喎斜、高熱、人事不省、心悸亢進、呼吸困難、精神不安、自律神経失調症、神経性不安症、神経興奮症、神経性胃炎、神経性頭痛、神経過敏症、変性筋肉神経痛、坐骨神経痛、などでした。清心丸の主役の牛黄(ごおう)は来年の干支の「牛」からとれる動物性高貴薬です。

 

 

2009年1月 丑年

新年おめでとうございます。良い年をお迎えの事と思います。さて、今年の干支は「丑」です。牛由来の漢方薬に「牛黄(ゴオウ)」があります。牛の胆石で二千頭の中から一頭しかとれない貴重な薬です。他の動物からも採取されますが、牛のみが医薬品(日本薬局方)として効果が認められています。"ダイヤモンドより高い"高価な動物生薬なのです。古書「神農本草経」(生薬の分類、性格や効能が書いてある)には、"逐鬼(ちくき/鬼を追う)"、つまり"死なないお薬"とあります。強心、降圧、肝臓保護、抗炎症、解熱、鎮痛、鎮経、赤血球新生促進などの働きが認められています。元京都府立医大第三内科教室の松本仁幸先生の研究によると、牛黄は併用薬品の取り込みを良くする性質がわかっています。世界遺産、和歌山の熊野速玉大社の「熊野牛王符」の印色はこの牛黄を混ぜ込み、厄除け、家内安全の神札(おふだ)として喜ばれているようです。昨年は世界経済に激震が走り、今年の動向が気になるところです。牛に習いあせらずズッシリ構えたいものです。

 

 

2009年11月 薬用サフラン

サフランはヨーロッパ南部から小アジアが原産地で、古代エジプトやギリシアの時代から使用されていた様です。先月はお客様サービスで、「薬用サフラン」の球根プレゼントをしました。10月の気温が急に下がる頃から芽を出し、11月末頃には紫色の可憐な花を咲かせます。紫の花びらの中の、赤色の雌しべと黄色の雄しべのコントラストが何ともいえずキレイです。色鮮やかな雌しべ3本を摘み取り乾燥したものを、食用や薬用として用います。フランス料理の"ブイヤベース"や、スペイン料理の"パエリア"は有名です。特有の色と香りが食欲をそそります。日本での歴史は浅いのですが、江戸時代初期の記録が残っています。薬用のサフランは婦人の妙薬として知られます。更年期、生理関連、不眠、ヒステリーなど市販の薬にも配合されています。生理がない時、漢方薬と一緒にサフランの乾燥雌しべ1gのふりだしを服用すると、効果があります。子宮の掃除をしてくれます。ただし、妊婦には使えません。高貴薬の一種で、服用量に気をつけて用います。

 

 

2010年4月 自律神経の女性

I さんは語り口調の優しい50代の小柄な女性です。ここ数年は仕事が忙しく、体の疲れが残るようになった為か、"めまい"や"ふらつき"がひどくなりました。良い時もあるのですが、相談の頻度が多くなり、会社も休みがちになりました。動けない時は、朝夕の電話での対応が多くなりました。「体がかなりきついのだなぁ・・」とかわいそうに思い、「神様が『休養をとりなさい』と言ってますョ!」となぐさめました。めまいには牛黄(ゴオウ)製剤、体力をつける基礎薬としてアミノ酸製剤、自津神経の調整に薬用人参製剤を続け、漢方薬も併用していただきました。5~6ケ月はたったでしょうか?ある晴れた日に元気なI さん来店されました。顔色も良く、両頬の"シミ"がすっかりなくなり、正直、10歳は若返っていました。髪にツヤがあり、眼には光が輝いていました。「きょうは知り合いの漢方薬を買いに来ました。」と、うれしそうな笑顔が印象的でした。よく頑張ったと思います。

 

 

2010年8月 消えたシミ

三女が幼稚園時に描いた家内の似顔絵には、右ほおに5円玉大の黒い"シミ"が正直に描いてあります。時は流れて今、彼女のほおには何もありません!なぜでしょう!?本人にインタビューしてみましょう!! Q: 気になっていたことと思いますが、皮膚には何かぬっていましたか? A: 社内勉強会で紹介のあった、"ACL N"(30g 5000円、ふっくら保湿 ハリと輝き アルジレリン、低分子コラーゲン、セラミドⅢ、合成界面活性剤フリー、ボトックス作用があるといわれる)を念じながら、毎晩すり込みました。(笑) Q: それだけで良くなったのですか? A: 子育てと仕事でとても疲れやすかったので、義父のススメでカキ肉エキス製剤を服用し始めました。海の天然ミネラルが、肝臓や腎臓の動きを良くして細胞に活力を与えます。Q: 他に何かありますか? A: 主人が愛飲しているアミノ酸製剤、子供に飲ませているクマザサエキス製剤、店頭で評判の薬用人参製剤などいろいろ併用を続けました。Q:  体調が良くなったのですね! A: 最近ワインが飲めるようになったんです!アルコールは弱いんですが、多分総合的に肝機能が向上し、肝斑(ほおの黒いシミ)の原因のメラニン色素などの分解が早まったのでしょう。表面の皮膚だけでなく、内部の強化やケアが伴って良くなったのだと思います。気になる方は、セオ薬局の美容担当者にお声かけ下さい。

 

 

2010年9月 夏は汗と涼

「あついですねぇ」毎日同じ挨拶をかわしていますが、特に今年は暑く感じます。マスコミも毎日"熱中症"の警告をし、水分補給と室温調整のアドバイスをしています。夏は薄着の状態で急な温度変化に対応する事がよくあります。冷えた室内から暑い屋外へ出た際、熱気でムッとしてクラッとくる事がありますね。体の自動調整をとる自律神経が5℃以上ギャップがあると変化についていけないのです。これは一気に飲む氷水にも同様のことが言えます。冷たい食べ物や冷房により急に汗が止まると、体内では逆に熱がこもり、ほてりやのどの渇き、軽い頭痛、血圧の上昇などを引き起こしたりします。冷やすものに対する体の正常な防衛反応の結果、思わぬ落とし穴に落ちる事があるのです。汗をかく事と軽く涼む事が、うまく夏を乗り越える妙策です。熱いお茶をすすり、汗をかき、ウリ科の植物(キュウリ、ニガウリ、トウガン、ヘチマ、スイカなど)で涼め、夏バテの漢方薬を服用することです。

 

 

2010年10月 化膿して痛むご婦人

ある暑い昼、色白で小柄な60代後半のご婦人が来店されました。1ヶ月抗生物質を服用しているが、化膿が治らないということでした。「どこが悪いのですか?」とお尋ねすると「おへその奥がはれて痛い」とのこと。「何か消毒剤がほしい」とのことでした。抗生物質が効かないのは深い部分に炎症があり、消毒剤だけでは力不足です。大事をとった方が良いと説明し、"膿を排泄"する事と体質改善をオススメしました。セオ薬局で自家製造の漢方薬「排膿散」を1週間分、直接の部分はクマザサエキス製剤で湿布し、服用もしていただきました。4日程たった頃でしょうか?ご本人がわざわざご来店になり、「お陰様でシル(膿)がドッと出て楽になりました。」とお喜びの声でした。再発の事も考え、漢方薬は飲みとり、クマザサエキス製剤の服用は継続する事をオススメしました。また、食べ物で甘いもの、もち米、体を冷やすものはしばらく中止していただくようおねがいしました。正直なところ、漢方薬がこんなに早く効くとは思っていませんでした。

2011年1月 アトピーの妊婦

M子さんは残暑厳しい中、知人の紹介でお母様と二人で来店されました。アトピーの悪化で皮膚が乾燥し、かゆみがひどく分泌物がありました。驚いた事には妊娠7ヶ月で、年末にはご出産と伺いました。胎児が心配でステロイドや他の化学薬品は使いたくないと、漢方薬をお求めでした。本来は妊娠前から体質改善をして治しておくべきだった事、産後母親の皮膚トラブルは軽くなる一方、毒素が子供へ回り、アトピーの発生が予想される事をお伝えし、アトピーに良い漢方薬を選択しました。併せて「養生法」、特に食べ物の注意をお願いしました。その後、経過は良好。出産真近、少し悪化のお母様の話。しばらくたったある日、ご本人からお電話ありました。「無事女の子を出産、母子共に健康で皮膚に問題もなくキレイ」とお喜びの声でした。生後6ヶ月までは母親の免疫が持続しますが、それ以降を考え、漢方薬の続服と体質・母乳をキレイにするクマザサエキス製剤をオススメしました。まずはめでたしめでたし。

 

 

Iさんと金の玉

7月に米寿を迎えられたI さん。色白でシミひとつない美人です。「今元気なのはセオ薬局さんのお陰です。」と有難いお言葉。30年程のお付き合いになるでしょうか?最初は不眠と自律神経失調の訴えで、漢方薬を服用されていました。しばらくはご夫婦でお越しのなっていましたが、ご主人が脳梗塞をされ、だんだんと自宅での世話(老々介護)が主になり、負担となりました。ご主人におすすめしていた、「金の玉」を"私の体の方が大切だから!!"と、ご自分用に毎日服用しだしてから、気力・体力、回復されました。ある日、顔半分を紫色にはらしてご来店されました。急いだ為、玄関で転んだ様です。早速、打ち身の漢方を処方しました。1週間後再来店。びっくりした事に、顔のアザがすっかり消えているではないですか!よくよく考えてみたところ「金の玉」ではないかと結論しました。毛細血管の流れが良くなり、うっ血がとれ、早く細胞が回復したものと思われます。本日は娘さんとご来店。夏の疲れのご相談でした。

 

2012年5月 「抑肝散」と「牛黄」が良かった例 

「娘の調子が良かったので、家内にも飲ませていいだろうか?」梅の花がほころぶ頃、Tさんからお電話がありました。奥様が"統合失調症"のためご入院。注射後、頭が下がったままで首が石のように固く、目に力が入らず無表情で、会話もできない状態でした。"緊張を和らげる漢方薬"と微量ミネラルをたっぷり含む「天然カキ肉エキス製剤」を差し上げましたが、病院の目を盗んで服用させる必要がありました。思慮の上、食パンにはさみ込んで食べる(服用)方法を実践。見舞い時のタイミングしかない為、我慢しながらの作戦でした。途中、「牛黄製剤」の併用を始めると、意外に早く効果が現れ、「首のこりがほぐれて頭が持ち上がるようになった!」とご主人からお喜びの電話があり、3週間ほどで退院されました。春の陽気もあり、期待通りの回復が難しい時季ですが、初期より6~7割は良くなっているとのご返事でした。何と言ってもご主人の献身的な愛が奥様の回復力を高めてくれたのでしょう。

 

2012年11月 パーキンソン病を乗り越えて

A様は80代になりましたが、皮膚のはりもあり、まだまだ70代前半で通るなかなかの美人です。いつもパワーをいただいています。10年程前、家庭内のトラブルがストレスとなり、イライラ、不眠、手のふるえが出て、「パーキンソン」の病名がつげられました。この苦痛を訴え続けた頃がありました。一時、化学薬品の副作用でオカシイ事もありましたが、現在は落ち着いておられます。先日のご来店時「嫁からいつも元気なのでパーキンソン病じゃないみたい!と言われて嬉しかった。」と教えて下さいました。緊張すると震えるが、普段のリラックス時はわからないとのことでした。感心な事は、セオ薬局でオススメしたものをしっかりお続けだということです。商品によっては新しい製品に移行していますが、控えを見ますと、天然アミノ散製剤、天然ビタミンE製剤、ビタミンC製剤、天然無臭ニンニク製剤、牛黄製剤、漢方生薬製剤等、すべて継続されています。大きな病気もされず、若さを保っている秘訣がここにありそうです。

2013年5月 何かイイコト薬用人参

「困った時はセオ薬局さんに行きなさい!」牛黄の愛飲者だったお母様からYさんはよく言われていたそうです。体が弱かった事もあり、セオ薬局の現会長から「これを10年続けて飲みなさい。きっといい事があるから。」と当時言われ、もう20年以上薬用人参製剤をお続けになっています。「何かイイコトありましたか?」お尋ねしたところ、「フフッ!?」と笑みを浮かべ視線は天井へ。「ありましたヨォ~」「教えて下さい!!」「実は同窓会で・・・」この一言でピンと来ました。「自分1人だけ若かったのヨ!!」と目を細めて嬉しそうに小声でお答え下さいました。薬用人参は"人参七効"と言って、7つの薬能があると言われます。元気を補い疲れを早くとる、血を造り脈の力を回復、精神安定、体液の調整、肺を補い咳を止める、胃腸を丈夫にして下痢を止める、体内の毒を出して傷を治す、等です。ガンでは補助薬として服用することで、不思議に痛みが和らいだり、治療成績が向上する時が良くあります。

2014年1月 水の毒

水分のよどみにより起こる変調を「水毒」と呼ぶ。お酒の飲みすぎによるあの二日酔いも、典型的な水毒である。人の体の60%は水分である。飲んだり食べたりする中で、私たちは1日2.5リットルの水分を便や汗として排せつしている。水の役割は大きい。疲れたり冷えたりすると体の代謝が落ち、水の排せつがうまくいかなくなる。これも水毒の一つである。おばちゃんが働きすぎてひざを痛め、水がたまった。またある女性が鼻水とくしゃみが激しく、どうしてよいのかわからなくて相談に来られた。それぞれ異なる漢方薬を用い、部分的に冷やしたり温めたりした。近頃は血液をサラサラにとか老廃物を流すからと、水を大量に飲む人が多い。水は薬にもなるが、取りすぎると毒にもなることを知っておいてほしい。漢方薬は体内の過剰な水分があると利尿の働きをするが、そうでないときには利尿の働きをしない。不思議なことである。天然の薬の妙でもある。

 

2014年2月 病は「気」から

「気」という文字を使った単語は多い。勇気、元気、意気、殺気、湿気、気分、等々。では、気とは何か?血液や水分は目で見えるが、気は見ることができない。人はいざというとき、常識では考えられない力を出す時がある。俗に言う「火事場のばか力」である。これは気が起こす不思議が、形として現れた一瞬であろう。昔から「病は気から」と言われる。男の人がのどが詰まった感じがして、検査をしたがどこも悪くないと言う。これは気うつの状態で「梅核気」と言う。梅の種でのどがふさがった感じがする病だ。小学生の男の子が母親と二人で来た。男の子は目をシパシパさせて落ち着かない。一種のチック症状だ。気のよどみである。親に何か訴えたいが、言い出せない感じにとれた。同時にオネショも気のよどみである。気は目に見えないが、心と体を結ぶ大事な働きをする。自然の中から生まれた漢方薬は、この気の流れをうまく調節するのにすぐれている。自然の力の知恵である。

 

2014年7月 当帰の花

夏の事だった。わが家の「当帰」が腰ほどの高さになり、白い小花が集まって、開いた傘のような姿をしてあたりを明るくしていた。生命の勢いを花に感じた。当帰はセリ科の植物で、特有のプーンとした芳香を持つ。「漢方のニオイ」と言われる独特の香りの一つだ。葉は濃緑色で、セリの葉に似て三つに分かれている。虫が付きやすく、煙でいぶして駆虫する話を聞いたことがある。当帰は漢方薬でよく使われる生薬の一つだ。病人に与えると健康に帰る、「当に帰る」といういわれがある。日本産の当帰は優れた品質を誇るが、生産農家が少なくなったのが悩みの種である。当帰を使った漢方薬に「当帰芍薬散」がある。六つの生薬から成り、煎じたり粉末にして服用する。古典には粉末をお酒で服用するよう指示がある。胃腸の負担を軽くし、吸収を高める効果がある。おもしろい方法だ。色白で比較的体力がなく、冷え症、貧血傾向の女性に主に用いられてる。安全性の高い漢方薬の一つで、妊婦の体調を整えたり、安産の目的でも服用される。近年では認知症で用いられた報告もあった。