相談例集

消化器

2013年11月 黄門さまの印籠

「この紋どころが目に入らぬか!」水戸黄門の名ぜりふである。あのときの印籠の中身は何だろうか?お芝居は虚構でもあの印籠の中身はうそではない。架空の薬ではない。「牛黄(ごおう)」という名の漢方薬で、牛の胆石から作られた動物系生薬である。牛黄はいろいろな病の予防や治療に用いられ、市販のドリンクやカプセル、錠剤、丸剤にもよく利用されている。血流を良くする特性を生かし、認知症への応用も研究されている。六十代の男性が、医師から長くは生きられないと言われた。「長生きの薬はないだろうか」との相談に、牛黄製剤をすすめた。本人の望み通り八十九歳まで長生きし、天寿を全うした。数度の脳血栓で倒れた母親のことで娘さんが相談に来た。これまた牛黄製剤が有効に作用したのか、それから二十年以上病床ではあるが、今でもお元気だ。肝硬変であきらめていた学校の先生も牛黄製剤を服用した。十年たった。力のなかった目がいきいきとし、土気色だった顔に赤みがさした。(南日本新聞夕刊連載「思うこと」瀬尾昭一郎より抜粋)

2014年4月 私の漢方事始

小学一年生まで私はオネショが治らなかった。父が漢方薬を煎じてくれた。出来上がりに米あめを二個入れた。甘みはあったがおいしくなかった。子供のためにあめを入れてくれたと思っていたが、それが漢方薬の処方だった。母は胃が弱かった。果物など夜に食べすぎて、翌日胃の痛みを訴えることがよくあった。ある日、胃が重くて食欲がまったくなかった。胃がんではないかと疑った。父は漢方薬を煎じて飲ませた。大学を卒業した私は、ある漢方系製薬会社に勤めた。仕事でストレスや睡眠不足、酒が重なり体調を崩してしまった。体重が減り、胃痛でふらつき気力がおとろえた。口に周りのひげそりあとが化膿して赤く腫れあがった。漢方の勉強を始めたころだった。試行錯誤をしながら、一年後に回復した。自分の処方に自信を持った。父と同じ漢方の世界の入り口に私は立ったと思った。最近、漢方薬も身近になり、服用もしやすくなった。だが、安易な身近さではない大事な身近さになるよう、漢方の普及に努めたい。

 

2015年4月 健康十訓 少食多噛パート1

今回の題目は、健康十訓の中で現在の日本人に最もお勧めしたい成語の一つと思います。日本では胃腸薬が昔から良く愛されています。日本人は繊細な性格に伴い、胃腸も弱いと言われ、胃薬が手放せない民族です。また、西洋人に比べ日本人は体温が低いようです。水銀の体温計で"37度"が赤い数字になっています。私も含め"微熱"と思っていた方が多いようですが、「通常体温」という意味らしいです。性格の繊細さに加え、現在の生活習慣や社会環境の変化が"食べ物"あるいは"食べ方"に影響し、腸内細菌の発酵作業に微妙なダメージを与え、体温が下がりやすい体になっています。現在「癌」や「アレルギー」が急増している事とも関係がないことではないと思います。この胃腸の消化・吸収を助けるまず一番の方法はよく(多く)噛む事です。噛むと唾液が出ます。例えばこの唾液でデンプンは糖に化学変化し、吸収されやすくなります。噛むことにより顎の筋肉の動きが頭部を刺激し、緊張を和らげ精神状態を落ち着かせます。野球選手などスポーツ選手がよくガムを噛んでいますね。私が担当している学校保健委員会でも学校歯科医が「噛むことは健康の秘訣」と講話をされています。

 

2015年5月 少食多噛 パート2

噛むためには歯が丈夫で揃っている事は大事です。人の歯は何本あるでしょう?大人の歯では、門歯4本、犬歯4本、小臼歯8本、大臼歯12本(親知らずあれば16本)が標準です。肉食の多い欧米人は犬歯が、穀物中心の東洋人は臼歯が発達していると言われます。各歯はチームでのスポーツや仕事の様に、それぞれの役目があります。「門歯」は切断する役目、「犬歯」は肉など切り裂く役目、「臼歯」は臼の様にすりつぶして細かくする役目があります。大事なのは、これらの歯の種類や本数と、食べる品目は関連づけて食べる必要があるということです。和食の献立の基本として、主食(米・麦・雑穀)を5、野菜・海藻・いも類を3、豆・種実類を1、動物性食品(魚・卵)を1の割合で食べることが良いと言われています。お祝いや宴会等の豪華な食事は「特別な食事」であって、毎日の「粗食(少食)」の標準食が大事なのです。虫歯や歯の異常のある方や年齢により、食べ物の種類、調理法、食べ方(よく噛む、時間をかける)などを考慮する事が必要です。「噛む事(多噛)」が胃腸の健康を守ることに繋がります。

 

2015年6月 少食多噛 パート3

健康食品、一般食品を液体やカプセルの形で"飲む"宣伝がよく目にとまります。一気に飲みこむと噛む行為が無くなり、胃の消化から始まるので、胃腸に負担がかかります。先日、「医師から"くろずのカプセル"を飲むのを止められた」と報告して下さったご婦人がいました。口は胃の門番でもあります。通常ビールや清涼飲料水はかなり冷やしてあるため、急激に胃腸が冷えます。温度差による胃腸の負担の例では、コップ一杯の氷水(0℃)を一気に飲んだ時、冷えた胃が通常の温度に戻るのに、40分かかると聞きました。胃を温めるためには血液を送り込むしかありません。面白いことをされているお年寄りがいました。浄水を一時冷蔵庫保管し、飲みたい時コップでお湯を足して飲んでいるとのことでした。通常体は急な変化に対応する体力を温存していますが、同じ繰り返しが続くと、ほかの臓器の助け(負担)を要求したり、熱(炎症)を持ってなんとか自力で切り抜けようとして消耗していきます。おいしいものは舌で味わって"消化吸収は胃腸にお任せ"の方がたくさんいますね!

 

2015年7月 少食多噛 パート4

成長期は栄養分を必要とするため、たくさん食べることが大切ですが、一旦成長が止まり人生後半の下り坂では、若い時に比べその必要がないのです。体の代謝が落ちる一方、省エネの体になっています。少ない量で消化し、効率よく生かします。食事は成長期と違い日常の生活や生きるための量でよいわけです。年とともに消化能力が落ちそれぞれの臓器も徐々に小さくなります。先日、「お医者さんから委縮性胃炎と言われたけれど何も薬が出なかった。」とおっしゃる方が見えました。原因を探るため生活習慣を根掘り葉掘りお聞きすると、"ピーナッツが大好きで腹いっぱい食べる"ことがわかりました。ピーナッツ事態問題がありますが、「腹八分」という言葉が有る通り、食べすぎは何でも禁物です。これは昔の食べる事に困る時代の言葉ですが、現代のようなレストラン、スーパー、コンビニなど何でもすぐ手に入る時代は「腹六分」を目安にすることをお勧めします。そして、やっぱり良く噛むことです。それから空腹の時間は大事です。胃腸は夜の睡眠の空腹時に自分の清掃、調整、休養をしています。食べてすぐ寝てしまうと"仕事をする"事になり、「過労」になっているのです。

 

2016年4月 いづろ店お陰様で30周年特別企画 お客様勉強会のお知らせ

「健康十訓」を連載中ですが今年度の「お客様勉強会」のお知らせを致します。
毎年御好評の"お客様対象の健康勉強会"は、お昼1時半から3時までいづろ店近く金生町ビルにて開催しています。今年も継続開催いたしますので、ご興味のある方は御参加お待ち申し上げます。会費は無料ですが事前御予約下さい。その時のメーカーからおみやげの商品をプレゼントしています。4月21日(木)「冷えと疲れと低体温と免疫に薬用人参」、5月19日(木)「天然アミノ酸で健康長寿を伸ばそう」、6月19日(日)「わははと笑って健康長寿 笑う門には免疫アップ」、7月21日(木)「今年の猛暑もかき肉エキスで乗り切ろう」、8月18日(木)「筑後種天然クロレラで母乳育児・腸内環境」、9月15日(木)「~膝・腰・肩の痛みに朗報~痛みの原因を取り除く無臭にんにく製剤オキソピタン療法」以上6講演を企画致しました。この中で、お陰様で「いづろ店」が"30周年"を迎えるにあたり、特別企画としまして"あの「三遊亭歌之介」師匠"をお呼びし、同日"笑って健康"をテーマに寄席を企画しています。御応募はいづろ店、真砂本町本店にお問い合わせ下さい。

 

2017年5月 「牛黄」について東京で講演して下さい

平成8年10月11日、女子医大退院。しばらくして、東京の“ウチダ和漢薬”より、連絡があった。医師、薬剤師を対象に、東京で「牛黄」の講演をして下さい、というものであった。体調も、勿論もどっていない。「少し時間を下さい、勉強してみます。」、と延ばした。九州のK支店長に頼んでみた。「その後、牛黄の学術資料は出ていませんか?」しばらくして資料が送ってきた。京都府立医大、「牛黄」についての“実験”であった。数枚めくってみて驚いた。こうだったのか、故小島教授より、すぐる年依頼されて、出来なかった、「牛黄薬理の実験」をこの眼で読み取った。以下のような実感結果であった。牛黄を、マウス、ラットでテストすると、イ)肝血流が急激に上昇する。肝炎の数値を示す。GOT、GPTは改善しない。ロ)牛黄+熊胆の混合物投与、肝機能が一段と良くなる。ハ)牛黄とし四塩化炭素(劇物)を投与。肝機能は一段と悪くなる。ニ)以上の実験で「牛黄」が、肝血流を大へんよくしていることが解る。以上が、やっと解明された、「牛黄」の薬理作用の第一報であった。退院後に、施工した鉄筋3F建が、1年がかりでやっと完工した。ウチダ和漢薬の本社より、その間、2回ほど、訪問を受けている。新築の2Fで、「五行の庭」を眺めながら、話をしている。延ばしに延ばしていた東京の講演に出かけた。東京全逓会館、平成10年12月12日。退院後、初めての“講演”、さすがに本調子になれなかった。

「水に棲む蛙の声」瀬尾昭 著 より

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2017年9月 「 しゃっくりが止まらない」

Mさんの奥様から家内の携帯に電話相談があったのは、朝の7時頃でした。「主人の“しゃっくり”がなかなか止まらないのよ!」開店と同時にご主人本人が見えました。「指宿に泊まりに行って楽しんできたけど・・・」としゃっくりをヒックヒックしながら経過を説明していただきました。知らない人がこの光景を見たらつい笑ってしまうような話しぶりです。本人は本当にまいってしまっているようでした。「恐らく内臓の冷えから来る病気でしょう。特効薬の漢方薬があります。」と煎じ薬5日分お渡ししました。「早ければ1服で、遅くとも5日以内には止まりますから。」と説明し、お帰り頂きました。翌朝、「どうだったかなぁー?」ふと考えている所に、いつものお顔でMさんがご来店。私も少し緊張しました。ニコッと笑顔で、「セオさん止まったよ!」と一言。「言われた通り飲んだら、一服で止まったよ。有難う。また出たら困るから、頂いた残りも飲みとるよ。今日来たのは家内の事で、風邪をこじらせて熱出して寝とるんョ・・・。」一難去ってまた一難。お大事にされて下さい。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎


2018年5月 「全身の皮膚炎で自殺まで考えた男性」その1

Uさんが奥さまと一緒に見えたことを思い出します。医師からのこ難しい診断名のメモを見ながら、一生懸命今までの病歴をご説明されました。きっかけはちょっとしたことでした。水虫の内服薬を数年続けているうちに、肝炎を引き起こし、緊急入院。肝臓は治ったけれども今回の皮膚炎となり、皮膚科を何軒も回ってやっとセオ薬局にたどり着いたらしいです。この間10年ほど時間が流れています。顔ですが頬を中心に真っ赤で、頭はふけがパラパラ落ち、手はひび割れて痛々しい様相です。体もかゆみと、ところどころ引っ掻いてキズがいたるところに。汁が出ているところもあり、かなり重症でした。水虫薬からの肝炎までの流れは薬の副作用の様ですが、仕事が忙しかった事もあり、疲れが重なった結果だと思います。早いうちに水虫薬を止めていればここまでには至らなかったかもしれません。処方箋を受けていた薬剤師も責任があるのでは?「いくら治療しても皮膚が良くならず、自殺まで考えた」とおっしゃいました。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年9月「夜の寝つきの悪い○○○○」その1

不眠の訴えの方が多いです。ほとんどの方は、寝つきが悪く目がさえて寝られなかったり、2~3時間して目が覚めてしまいそのあと寝られなかったり、という訴えです。ほとんどの方は医師からの短時間型の「睡眠導入剤」や、「安定剤」、一般的な「睡眠剤」を服用しています。そこでよくある質問が、「飲むとぼけませんか?」です。「すぐにはないでしょう?個人差もありますが、長期間の服用の中で、老化も伴うので徐々にはぼけますよねー!?ぼけても自分がわからなくなるので、服用していいんじゃないですか?」と冗談交じりにちょっと脅します。生活習慣を尋ねると、昼間に2~3時間も昼寝をする方がいました。体がきついので、しかたがないとは思いますが、昼間は出来るだけ起きておく努力は必要でしょう!また、睡眠剤を服用した追い打ちに「アルコール」を飲む方がいます。薬剤師としては、「アルコールと睡眠剤は一緒に飲んではいけない組み合わせ」と指導します。向精神薬なども同様の事が言えますので、気をつける必要があります。アルコールの薬理は脳神経を最初興奮させ(陽気になる)、時間が経つと沈静(眠なる)、濃度が薄くなると再度興奮する(目がさえる)流れがあり、薬の作用が変化する可能性があります。肝臓にも負担がかかります。化学薬品も同様です。次回のコラムで漢方薬処方紹介します。



セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎

2018年11月「 好酸球過多による過敏性大腸炎の女性」

遠方の□さんから初めての相談のお電話がありました。今までの病歴、検査値、服用している漢方薬、新薬、の内容を一時間ほどお伺いしました。漢方薬の処方をたくさんご存知の様子で、検査内容や病状も専門用語がポンポンと出て来て、ほとんど一方的なお話でした。「好酸球過多」に伴う「喘息」「過敏性大腸炎」等の病名を訴えられたのですが、根底に観えたのが「低体温」でした。「自律神経失調」「アレルギー」「神経過敏」「疲労」「不眠」等、ある程度の病態は当てることができました。このことは病気との付き合いが長いことを感じることができます。お手紙を書き、漢方薬とアミノ酸製剤、食事内容、漢方薬の選択の考え方、日頃の養生、等手紙2枚と「セオの養生食べ方学パート2」をお送りしました。その後、この内容にも熱心な質問があり、3~4カ月は同じような訴えと薬の選択など相談が続きました。そのたびに食事や養生を繰り返し繰り返しご指導しました。「今までの病歴が長いので、すぐには無理ですが、病気との付き合いをしながら、季節ごとの生活習慣の注意をし、まず1年、そして3年努力すると今以上に健康を維持できると思います。」と、この前のお電話でも励ましながら、お話しました。


セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎