ライブラリー

2025年12月「一官何欽(いっかんかきん)吉(きつ)と都城唐人町そして和人参」

ここ数か月、父瀬尾昭の著作物、写真、手紙、古書、論文を整理しながら、表題の内容を記事にまとめ、ようやく冊子が完成しました。「一官何欽吉」は当家の祖先の一人で、江戸初期の頃、中国福建省より当時の薩摩藩都城唐人町に移り住んだ人です。医業を営みながら、梶山の山中で、薬用人参に良く似た日本自生の「竹節人参(チクセツニンジン、トチバニンジン)」を発見し、これに「和人参」と銘々、広く使用しました。(庄内地理誌、三国名勝図会、都城市史)墓は都城西墓地に子孫の天水家墓の敷地内にあります。和人参は現在「薩摩人参」というブランド名で広島大学や熊本大学で成分分析が進められ、全国に自生する竹節人参との成分の違いや根茎の形態の違いがわかっており、一般で使用されている薬用人参の成分に近い事が解っています。また、江戸、明治、大正、昭和初期まで採掘され流通していましたが、掘りつくされた結果、現在絶滅危惧種に分類されており、有識者から保存の会の奨めもあり、本年4月6日、「サツマニンジンの保護を支える会」を発足しました。一般の方々にも知識や情報をお知らせし、日本全国、特にサツマニンジンは宮崎、鹿児島の山系に自生している人参であることを知っていただき、保護を訴えていきたいと思っています。詳しい内容に関しては上記の冊子に詳しくまとめてありますので、希望の方には、冊子を差し上げています。

セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師  瀬尾昭一郎