温故知新、漢方専門薬局として常に勉強し、今に則して動く必要があります。令和3年1月24日の漢方研修会を視聴しました。親会は日本最大の東洋医学の学術団体です。医師を中心に、薬剤師、鍼灸師が日ごろの臨床や研究の成果を発表し、西洋医学的視点分析も合わせ参加しています。コロナ対策の為、オンラインで受講しました。「アルツハイマー病」の予防と治療を目指した和漢薬研究、「COVID-19(新型コロナウィルス)」に対する漢方薬の臨床研究など近々のニーズに答える生きた内容で、勉強になります。前者はアルツハイマーの原因とされる“アミロイドβ”の沈着や神経変性を漢方薬の「帰脾湯」や「加味帰脾湯」が改善し、研究レベルで治癒に結びつく解析があり、“認知症”に期待されます。後者は、コロナ患者に対し「柴葛解肌湯」、「小青龍湯」、「麻黄湯」、「銀翹散」など通常の風邪やインフルエンザで用いられている処方を症状別に使い分け、体調の改善に役立っているとの話がありました。約二千年以上前に確立していた漢方の世界、特に「傷寒雑病論」という医学書には、著者張仲景の「親戚一同が十年経たないうちに三分の二が死に、その約七割が“傷寒”にかかって死んだ、医学の充実を図ることになった云々」という序文から始まり、処方解説がなされています。この“傷寒”とは「インフルエンザ」や現在ワクチンの普及が急がれている「新型コロナウイルス」等の感染症、急性病全般を指している様です。現在も“傷寒”との戦いが続いているのです。
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師 瀬尾昭一郎