最近の相談者でよくある事ですが、医療機関を三カ所以上に通っていて、医師からの医療用医薬品がそれぞれ合わせると、10種類以上処方されている方があります。「お薬手帳」を拝見してすぐ目につくのですが、別々の薬局でもらっている藥が同じ成分で重なっているケース、お互い影響のある複数のお薬が漫然と続けられているケース、副作用をカバーする薬がさらに追加されているケースなどさまざまです。「同じ薬ですね!」と確認しても、「ああそう・・?」と本人が他人事のようにお答えになります。これは薬を出す各調剤薬局で投薬する薬剤師の注意確認不足で、薬剤師に責任があります。監査の目が届いていないのに「手数料」はしっかり徴収されています。おそらくは真面目に通院を続けておられ、少しずつ処方が増え、慣れてしまい、ご本人も疑わないようになっているのだと思います。市販の漢方薬の添付文書に薬効が書いてありますが、のみ合わせについては「薬剤師にご相談ください」です。薬は食品ではありません。「くすり」は逆から読むと「リスク」となり、私も小中学校の薬物乱用防止授業で引用しています。そして、「漢方薬でどうにか治したい」とおっしゃいます。なかなかの難問です。いままで十数年変わらなかった、あるいは徐々に悪化してきたものが、数週間で健康な状態になる事は稀です。「一に養生、二養生、三四がなくて○○○!」という宣伝がありますが、基本でしょう。病状が軽いうちに漢方薬を飲みながら養生することです。
セオ薬局代表取締役 漢方薬・生薬認定薬剤師 瀬尾昭一郎